旧幕臣たちが興した「幻の最高学府」 静岡学問所と沼津兵学校

静岡県では明治初頭、静岡学問所と沼津兵学校という2つの先進的な教育機関が存在した。浜松市に設置された浜松高等工業学校は、多数の世界的企業が生まれる原動力になった。戦後社会教育では丸山眞男らが関与した「庶民大学三島教室」が注目に値する。

静岡学問所と沼津兵学校

明治維新後、徳川幕府最後の将軍となった徳川慶喜と旧幕臣たちが駿府(現・静岡市)に移住する。開成所などの旧幕府教育機関に所属していた第一線の学者たちや、大量の蔵書も駿府に移り、これらの人材・知的遺産の活用を図るために、1868(明治元)年、静岡学問所と沼津兵学校の2つの教育機関が誕生した。

静岡学問所の生徒たち(E. Warren Clark『静岡風景』、早稲田大学中央図書館所蔵)

静岡学問所の生徒たち(E. Warren Clark『静岡風景』、早稲田大学中央図書館所蔵)

静岡学問所は漢学、国学、洋学を総合した教育機関であり…

(※全文:2097文字 画像:あり)

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