暗闇の中で対話する「ダイアログビジネスワークショップ」
視覚障害者のアテンドが進行役を担う「ダイアログビジネスワークショップ」。完全な暗闇から生まれる対等性は多くの気づきをもたらしやがて組織風土改革や企業文化の再構築へとつながっていく。
完全な暗闇の空間に身を置き
チームでミッションに挑戦

林 愛子
株式会社サイエンスデザイン代表取締役
東京理科大学理学部卒、事業構想大学院大学修了(事業構想修士)。科学技術ジャーナリストとしてモビリティや製造業に関係する情報発信のほか、大学や企業のコミュニケーション媒体の企画・制作を手掛ける。

暗闇の中で様々なミッションに挑戦する。
完全な暗闇の空間で実施される「ダイアログビジネスワークショップ(https://biz.dialogue.or.jp/training/)」。1988年にドイツで誕生し、日本で1999年から開催されている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」のプログラムを活用して開発された企業向けのワークショップで、累計1000社を超える企業が導入している。
参加者は8人程度のチームに分かれ、視覚障害者のアテンドのもと、暗闇の中で様々なミッションに挑戦する。例えば、誕生日順に並ぶというミッション。それぞれの誕生日は声で確認できるが、他者の姿が見えないため立ち位置が定まらない。普段なら難なくできることも、視覚情報がない暗闇では一苦労なのだ。
道具を使ったミッションはさらに難しい。複雑な形状のパズルを組み立てるミッションでは、参加者が協力し合う必要があるが、誰にどのようなパーツがいくつ配られているのかは分からない。そこで各自が手元のパーツの説明をするのだが、「長い・短い」といった抽象的な表現では伝わらない。意思疎通には共通の物差しが必要だが、暗闇でそれを見つけ出すのは容易ではない。しかも、ミッションには制限時間がある。自己主張ばかりで他者の意見を聞かない人や、前向きに取り組まない人がいてはミッションをクリアできない。限られた時間で最善の結果を出すにはリーダーシップやチームビルディングが必要だが、明白な上下関係がないチームで、誰がどう意見を取りまとめていくのか――。
(※全文:1986文字 画像:あり)
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