アートがもたらす変革の本質 非認知スキルを組織の力に

アートはビジネスとどう結びつくのか―― 一見遠回りに思えるアプローチにこそ真実がある。なぜアートなのか、その答えを探ってみたい。

いかにして個の力を引き出し、集団として成長していくか。多くの組織・団体が頭を悩ませているこの課題。背景にあるのは時代の大きなうねりだ。AIのように1年どころか数カ月もしないうちに新しい技術が更新されていくものもあれば、地政学的な影響を受けて停滞あるいは迂回を余儀なくされる領域もある。情報通信技術の発展はグローバルでの交流を可能にした反面、それまで見なくて済んだ他者の日常と欲望をあぶり出し、人々の心に不信や不安の種をまいている。

んな複雑さを増す時代だからこそ、未来を照らす希望の光としてのアートが必要だと考え、本連載ではアートを扱うワークショップや研修等のプログラムを紹介してきた。その締めくくりとなる第6回は個々の事例を振り返りながら、改めてアートの持つ力について考えてみたい。

不確実な時代だからこそ対話が重要。

行動変容を促すには
身体性を伴う経験が重要

林 愛子

林 愛子

株式会社サイエンスデザイン代表取締役
東京理科大学理学部卒、事業構想大学院大学修了(事業構想修士)。科学技術ジャーナリストとしてモビリティや製造業に関係する情報発信のほか、大学や企業のコミュニケーション媒体の企画・制作を手掛ける。

本連載で紹介した5つのプログラムは、いずれも参加者を日常の枠組みから解放することから始まる。ホワイトシップが提供する「EGAKU®」では絵画鑑賞のあと、色紙とパステルで内なる思いを表現する。絵は子どものとき以来という参加者も珍しくなく、まさに非日常のひと時を過ごす。「アート・アンド・ロジック」はデッサンを通じて、見慣れたものを新たな視点で捉え直すことを体験する。「ダイアログビジネスワークショップ」では暗闇で視覚情報を遮断することで、年齢や肩書といった社会的ラベルを無効化する。

(※全文:2149文字 画像:あり)

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