一碗の茶に宿る美意識が、今、人と社会に問いかけること

「美」への共鳴が場を結び、
調和が社会へと広がる

いま、世界で抹茶や茶道への関心が高まっている。単なる日本文化ブームを超えた、時代の問いが背景にあるのではないだろうか。日本では「失われた30年」と呼ばれる長期低迷の深層に、既存モデルの改善・効率化を追求する思考様式が染みつき、ゼロから価値を生む力の醸成が遅れてきたという構造的な問題が指摘されている。

AIの急速な進展が加わり、課題はさらに鮮明になった。機械学習が処理するデータと論理が精巧になるほどに、人間には、より大きな見通しと俯瞰にもとづく確かな判断力が求められるようになってきている。判断の軸を持たなければ、逡巡したまま取り残されるか、違和感に蓋をして流れに身を任せるかのどちらかだ。前例のない状況の中でも先を見通し、何が価値かを見極める力が、いま強く求められている。また、コロナ禍を経て、人と人とが相対して交わす対話から生まれる深い交流と豊かな発想のダイナミズムも、いま見直されている。

(※全文:2291文字 画像:あり)

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