大人への視点転換が生んだ教育改革 不登校支援事業「トーキョーコーヒー」
35万人を超える不登校児童。この社会課題に対し、アトリエe.f.t.が展開する「トーキョーコーヒー」は、問題の本質を「不登校は子どもの問題ではなく、大人の課題」と再定義し、わずか3年で全国416拠点という驚異的な広がりを生み出し、2025年度グッドデザイン賞を受賞した。

プロジェクト名は「登校拒否」のアナグラム。言葉遊びに込められたのは、深刻な問題を楽しみながら考えようとする姿勢だ。「世界一たのしい革命」を掲げ、教育を社会全体で問い直すムーブメントとしてデザインしている。
このプロジェクトの核心は、3つのデザイン手法にある。第一は対象の転換だ。多くの不登校対策が子どもを支援対象としているのに対し、トーキョーコーヒーは「大人の居場所」と銘打った。子どもに「問題がある」では自己肯定感を持ちにくく、自責の念を抱きやすい。そこで発想を逆転させ、大人が編み物やダンス、料理など好きな活動を楽しむ場をつくり、大人が笑って活動することで、子どもは何も押し付けられることなく安心できる。支援の場ではなく、副次的に生まれる居場所としてデザインしたのだ。「教育とは子どもの成長の邪魔をしないこと」という理念のもと、安心と自信、そして意欲があれば子どもは何からでも学ぶという信念が貫かれている。
(※全文:1350文字 画像:あり)
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