特集2 グローバル人材の育成 多文化共修・国際バカロレア・世界展開力

文部科学省は国際バカロレアの普及・拡大の推進をはじめ、グローバル人材育成に向けた多様な施策を展開している。地球規模の課題対応や労働力人口減少などを背景に、国境を越えて活躍できる人材の育成が急務となる中、本特集では大学・企業への取材を通じて、その最前線を追った。

普及・拡大が急速に進む
国際バカロレアと必要な支援

地球規模の課題への対応、日本の国際的競争力・プレゼンスの向上、労働力人口の減少に伴う多様な背景を持つ人々との協働など、現代社会において、国境を越えて活躍できる国際的に通用する人材の育成は、喫緊の課題となっている。

グローバル人材の育成の観点から、文部科学省では多様な施策を展開。その一つが、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)の普及・拡大の推進だ。IBは国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が1968年から提供する国際的な教育プログラム。世界約160の国・地域で実施されている。批判的思考や探究スキル等を養う特色的なカリキュラム、双方向・協働型授業により、地域社会・国・世界の問題を深いレベルで理解し、課題解決を図ることができるグローバル人材を育成する。

IBでは、年齢に応じて、各教育プログラムを提供(図表1)。高校レベルのディプロマプログラム(DP)では、国際的に通用する大学入学資格(IB資格)が取得可能だ。国内の国際バカロレア認定校等はIB推進が始まった2013年の39から2024年度には260と急速に拡大した。一方、特にDPでは、課題論文等が必須科目にあり、学習の進め方などで悩む生徒も少なくない。

図表1 IBプログラム

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こうした中、2024年7月、IB特化塾「IBアカデミー」を運営する株式会社Linksenpaiを起業した吉田志織氏に、起業の背景やIBの魅力などについて聞いた(➡こちらの記事)。

海外派遣と受入促進を支援
大学の世界展開力強化事業

文科省では初等中等教育から高等教育段階、その後の社会への接続も見据えて、一貫したグローバル人材の育成を推進している(図表2)。

図表2 グローバル人材育成推進に関する文科省の主な事業

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例えば、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」による留学支援制度「新・日本代表プログラム」は留学プランを自分で設計できること、民間寄附による返済不要の奨学金などが特長で、主に「高校生等」「大学生等」対象の2コースがある。2026年6月に公表された選考結果によれば「高校生等対象」の応募者は前年度1,886名から2,602名と4割増加している。

また、2011年度からスタートした「大学の世界展開力強化事業」は、国際的に活躍できるグローバル人材の育成と、大学教育のグローバル展開力の強化を目指して、先導的な質保証を伴う国際交流プログラムの開発・実施、これらのプログラムにより日本人学生の海外派遣と外国人学生の受入促進を支援している。同事業に採択され、ザンビアなどアフリカ諸国の大学と連携し、獣医学や保全医学の教育プログラムを展開する北海道大学。理事・副学長の石塚真由美教授に話を聞いた(➡こちらの記事)。

多文化共生社会実現のための大学の国際化の観点では2024年度に開始した「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」がある。同事業は、国内外での国際的な共修のための体制の構築等を通じ、更なる大学の国際化の推進、日本人留学生の派遣、優秀な外国人留学生の受入れ・定着が相互に作用する好循環の創出を目的に「地域等連携型」と「海外展開型」を展開(図表3)。「地域等連携型」で採択された関西大学は、大阪公立大学と連携し、大阪を拠点にオンラインを活用した多文化共修の教育実践を展開している。関西大学の池田佳子教授に取り組みについて話を聞いた(➡こちらの記事)。

図表3 ⼤学の国際化によるソーシャルインパクト創出⽀援事業(18億円)

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この他、本特集では、Duolingo, Inc.が6月10日に、大学関係者を対象に東京で開催した「Duolingo English Testリーダーシップセミナー」の概要を紹介する。京都大学、立命館大学、関西大学、神田外語大学、東北大学などの有識者が登壇し、「AI時代の英語教育」「大学国際化の実践と課題」など議論を行った(➡こちらの記事)。

本特集は「グローバル人材の育成」をテーマに、大学・企業への取材を通じて、その最前線を追った。グローバル人材育成の推進に向けて、教育関係者の一助となれば幸いだ。