キャリア・パスポートを活用して、自分の「強み」に気づくエビデンスに

高校での新学習指導要領が2022年度から年次進行で実施される。文部科学省では高校普通科の再編案が検討され、高校教育の在り方が問い直されている。普通科は今後どう変わるべきなのか。キャリア教育にはどんな可能性があるのか。筑波大学でキャリア教育を専門とする藤田晃之教授に聞いた。

「大学合格のために」学ぶ場からの脱却

──2022年度に新学習指導要領の実施を迎える高校教育ですが、高校教育の課題は何でしょうか。

藤田 晃之

藤田 晃之

筑波大学人間系教授
博士(教育学)。専門研究領域は、キャリア教育の比較研究、教員養成制度研究。筑波大学第二学群人間学類(教育学主専攻)卒業。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。中央学院大学商学部(教職課程)助教授、筑波大学教育学系 助教授、筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科 准教授等、2008年4月 文部科学省 国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター 総括研究官、同省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導調査官(キャリア教育担当)等を経て、2013年4月より現職。

日本では Society5.0(ソサエティ5.0)、世界では第4次産業革命と言われ、多少定義が違うものの、知がどんどん更新されていく、日進月歩で技術革新が起きていく、そういう時代に突入することは、世界全体として明らかな動きです。知がどんどん更新され、今持っている知識やスキルが陳腐化するスピードがどんどん速くなっていく時代。そういう流れの中に、高校教育がきちんと位置づけられていないというのが、日本における高校教育の一番の課題です。

これからの時代、データや情報を暗記していく、知識を貯めていくことは、インターネットや記憶媒体がやってくれる。そのデータの分析や専門的な活用の一部も AI に任せることができる。となれば、人間に必要なのは…

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