起業家精神を養成し、探究を促す 公立高校の多様性を生み出す教育改革

文科省が普通科高校の再編案を提案する中で、地域の学校の魅力づくり、特色づくりが大きな課題となっている。全国に先駆けて、中高一貫教育校10校への改編や IT やサイエンスなどに特化した高校づくりを進めるなど、高校改革を進めている茨城県の大井川和彦知事に話を伺った。

地域と高校教育

──茨城県の教育改革「県立高等学校改革プラン」を策定された背景についてお聞かせください。

大井川 和彦

大井川 和彦

茨城県知事
1964年4月3日茨城県土浦市生まれ。茨城県立水戸第一高等学校、東京大学法学部卒業。ワシントン大学ロースクール修了。1988年通商産業省(現・経済産業省)に入省。経済産業省商務流通政策グループ政策調整官補佐を経て、2003年にマイクロソフトに入社。その後、シスコシステムズ専務執行役員、ドワンゴ取締役を経て、2017年9月茨城県知事就任。

茨城県をはじめ首都圏の外側にある地方の最重要課題は、地域経済の維持です。地域経済の維持は、社会保障などの基礎になりますが、企業誘致や医師の確保を推進する際に、壁となるのが教育です。例えば、お医者さんが「この地方では十分な教育機会が得られないのではないか」と考えて、家族を伴っての移動を躊躇される、そうした方々も多いと聞きます。ですから地方の人材を育てる教育環境をつくらないと、地方再生はそもそもあり得ないのです。

そういう文脈の中で、茨城県では「県立高等学校改革プラン」を考えてきました。コンセプトの中心は、いわゆる起業家精神といいますか、自ら主体的に行動し、課題を考えられる人材を地域の中で育成することです…

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