江戸の教育力を支えた「若者組」 一人前へのイニシエイション
江戸時代の教育というと寺子屋が真っ先に思い浮かぶが、読み書き算用を教える文字教育とは別に、文字によらない非文字の教育システムが存在した。すべての若者を一人前に育て上げた、若者組の教育を紹介する。
一人前の大人になるための、15歳のけじめ
高橋 敏
ヒトの赤ん坊を人間にする広義の教育は、科学文明の飛躍的発展があろうとも軽減されることがない、人類共通の難事業である。中でも最も困難で厳しい試練は子どもから一人前の大人にする、成人(人に成る)の画期、折り目のイニシエイションにあった。成人式が形骸化して荒れ、親離れできず、「一人前」が曖昧模糊とした現状を見れば明らかであろう。
江戸時代の庶民は、誰もが15歳を画期に子どもから一人前へのけじめつけることが求められた。1歳で歩き、3歳で言葉を発し、7歳で子どもとなり、子ども仲間に加入する。この間父母・家族の庇護の下、親族・近隣に見守られながら...
(※全文:2542文字 画像:あり)
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