寺子屋のしつけ 礼なき子どもは学ぶべからず
寺子屋は、読み書き算用だけを教えるところではなかった。当時の掟を紐解くと、智(文字知)に優先して礼(身体知)を重視していた寺子屋のしつけを垣間見ることができる。
智よりも重視された、清掃・応対・進退の礼
高橋 敏
寺子屋は読み書き算用の実学を教えてくれるところで、筆子のしつけには無関心であったかのようなイメージがある。寺子屋といえば必ず引用される、渡辺崋山が描く「一掃百態」の腕白小僧が師匠の制止を聞かず悪戯をしたい放題の情景の影響もあるが、関心が専ら読み書き算用の文字文化習得のみにあったからである。
寺子屋師匠が一度は手に取って学んだ『小学』(朱子学を大成した朱子が門人劉子澄(りゅうしちょう)にまとめさせた初心者向けの教育書)の基本は、子どものしつけともいうべき「灑掃(さいそう)・応対・進退」にあった。身のまわりの清掃、他人への応対、立ち振る舞いを通して…
(※全文:2313文字 画像:あり)
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