自分の考えを世界に発信できる力を育む 世界とつながる英語力を伸ばす条件

本連載は、公立高校の英語教員から米国の大学院に留学、帰国後に教育事業を起業した筆者が、各分野の識者との対談を通じて「世界に通用する英語」の学び方、「グローバル教育」の在り方などを探る。第4回は、国際教育評論家である村田学氏に話を聞いた。

保護者の意識変化背景に
差が生じる子どもたちの英語力

村田 学

村田 学

国際教育評論家
アメリカ生まれ、日本育ちの国際教育評論家。3歳でアメリカの幼稚園を2日半で退学になった「爆速退学」経験から教育を考え続ける。国際バカロレアの教員研修を修了し、インターナショナルスクール経営などを経てインターナショナルスクールタイムズ編集長、国際教育のシンクタンクInternational Education Labの所長を務める。

 

田原 佑介

田原 佑介

株式会社LOOPAL 代表取締役
公立高校で8年間、英語教諭として勤務。学校で5000人以上の高校生と関わるほか、NPOとして6年間活動。コロンビア大学教育大学院(Teachers College)で、スクールリーダーシップの修士号を取得。日本の若者が、国際的に通用するスキルを身につけ、理想のキャリアを実現するサポートをするために、LOOPALを起業。

グローバル化が進む中、インターナショナルスクール(以下「インター」)や国際系私学に進学する子どもたちは増えています。しかし、「英語ができるはずの環境」にあっても、思うように力を伸ばせない子が少なくありません。

その背景にある課題と、これからの英語教育に求められるアプローチについて、国際教育評論家である村田学氏と、教育支援を行うLOOPAL代表田原との対話を通して紐解きます。

田原 インターや国際系私学に通う子どもたちは、どのように英語力を伸ばしているのでしょうか。

村田 少子化が進む中でも英検受験者数は年々増加し、幼児・小学生の英語力は確実に高まっています。先頭集団にいるのはプリスクール経験者、その次に英語圏からの帰国生、さらに国内育ちという順序があり、中学入学時点で大きな差が生じています。

例えば都心部では、多様な国際経験を持つ子どもが増えています。ハワイをはじめアジアや欧米など複数地域での滞在や交流を経験し、英語力に加えて人種や宗教、生活習慣といった文化的理解まで獲得しているケースも少なくありません。

背景には30〜40代保護者の意識変化があります。経済停滞を経験した世代だからこそ、子どもには国際的に活躍できる力をと考え、早期から英語教育に投資しています。その延長に、国内一条校に通わずインターを選んだり、教育移住などの動きが広がっています。学校現場は、この多層な前提を持つ子どもたちをどう受け止めるかが問われています。

(※全文:2356文字 画像:あり)

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