意思決定の理論的基礎 統計リテラシーを身に付ける

統計と聞くと頭の痛い人もいるかもしれないが、今の高校生は全員必修でデータ分析を学んでおり、社会においても世代間ギャップが生まれ始めていることをご存じだろうか。
管理職世代の方が統計リテラシーを持って意思決定する一助となるよう、6回に渡って解説する。

エグゼクティブのための統計学

倉田 博史

倉田 博史

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 教授。
1996年一橋大学大学院経済学研究科理論経済学及び統計学専攻博士後期課程修了、博士(経済学)。山口大学経済学部助教授を経て現職。専門は統計学。著書に"Generalized Least Squares"(John Wiley and Sons)、「大学4年間の統計学を10時間でざっと学べる」(KADOKAWA)など。

個人のであれ、組織のであれ、意思決定がしばしば難しいのは選択肢のそれぞれが「リスク」を伴うからに他ならない。リスクは「未来の不確実性」とも言える。リスクあるいは不確実性に対して私達がなし得ることの一つは、その蓋然性の程度をデータによって客観的に評価することであろう。その理論的基礎を与える有力な知的ツールが統計学である。

近年、情報技術の発展に伴って大量のデータ(ビッグデータ)が様々な場面で蓄積され、またそれらを解析するための計算環境が得やすくなっていることもあって、統計学を身に付けたいと考える人が増える傾向にある。本連載はそのような社会人の方々のために、統計学の学びあるいは学び直しについての道案内を提供しようとするものである。社会人の中でも…

(※全文:2371文字 画像:あり)

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