母集団のモデルとしての確率分布 理解と判断のポイント

集団の中である属性をもつものがどれだけ存在するかや、どの範囲に多く存在するかを表現できるのが確率分布である。例えば、顧客分析において、確率分布を用いた図で説明された場合はどう判断すればよいだろうか。まず知っておくべきは正規分布の概念だ。

母集団は確率分布で
表現される

倉田 博史

倉田 博史

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 教授。
1996年一橋大学大学院経済学研究科理論経済学及び統計学専攻博士後期課程修了、博士(経済学)。山口大学経済学部助教授を経て現職。専門は統計学。著書に"Generalized Least Squares"(John Wiley and Sons)、「大学4年間の統計学を10時間でざっと学べる」(KADOKAWA)など。

データを分析する際の最終的な関心の対象は、データそのものではなく、「データの元となった集団」すなわち母集団にある。例えば、新聞などでよく目にする内閣支持率は一定数の有権者を無作為に抽出して支持か不支持かを調査して得られたものであるが、この例における母集団とは「有権者全体」である。有権者全体において内閣支持と不支持の割合がそれぞれどれくらいであるか、これが最終的な関心の対象である。

統計学では母集団を確率分布で表現する。上の内閣支持率の例では、ベルヌーイ分布(Bernoulli distribution)という確率分布が用いられる。その名は数学者ヤコブ・ベルヌーイに因んでいる。これはごく簡単な…

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