1人1人の声に耳を傾け、受け入れ 子どもを人として全人格的に育てる

人生100年時代を見据え、今後は社会人のみならず、幼児教育・小学校教育の在り方にも変革が必要になる。では、これからの日本に必要な教育とは何か。オランダ在住の教育研究者で、イエナプラン教育をはじめ、オランダの教育制度や社会事情を日本に伝えるリヒテルズ直子氏に話を聞いた。

従来の線形思考から、システム思考への変革が必須

リヒテルズ 直子

リヒテルズ 直子

教育研究者
一般社団法人日本イエナプラン教育協会 特別顧問
九州大学大学院で修士課程(比較教育学)、博士課程(社会学)修了。1983~96年、オランダ人の夫とともにケニア、コスタリカ、ボリビアに歴住し、2児の育児の傍ら通訳・翻訳業、現地大学での講義を受け持つ。1996年よりオランダ在住。2010年に日本イエナプラン教育協会を設立し、代表就任。2015年より現職。

人生100年時代に、幼少期における学びはどう変革していくべきか。教育研究者のリヒテルズ直子氏は、まず「線形思考からシステム思考への変革が必須」と語る。

「これまでの教育は過去の知識をどれだけ吸収するかが焦点でした。しかし、テクノロジーが急速に進化し生き方が変わっていく時代は、過去の知識を元に新しい知識を取り込み、クリエイティブに生きる力が求められます。教科別に知識を詰め込む学習は物事を単純化・抽象化し、1つのことに対し因果関係が1つしかないような思考であり、線形的でした。対して、今後必要なのはもっと現実世界を観察し、出来事をシステム的に理解すること。つまり、世界全体の繋がりを理解する力です」

例えば新型コロナのように一カ所で起きたことが世界に広がり…

(※全文:2631文字 画像:あり)

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