フィジカルディスタンスによる接触の変化と、トロリー問題の考察
昨今、衛生面やソーシャルディスタンシングの観点で、人間同士が触れあう機会が減っている。哲学の分野で有名なトロリー問題に照らして、人に「触れる」ということについて考えてみたい。
スイッチを押すか、人を押すか
一ノ瀬 正樹
マイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」で世界的に知られることになった「トロリー問題」を思い起こしたい。暴走するトロリーに自分が乗っている。このまま何もしないと、線路上で働いている5人の人々をひき殺してしまうことが避けられない。けれども、手前に方向切り替えのスイッチがあって、私がそのスイッチを操作すると、トロリーは別の方向に進み、5人をひき殺さないですむ。しかし、折り悪く、その別方向の線路には1人の方が働いていて、その人を…
(※全文:1974文字 画像:あり)
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