教育DXの光と影 哲学的思考で教育ビッグデータ活用を考える

近年、教育現場で取り沙汰されている諸問題について、哲学的思考法で考察する連載第1回。初回は、DX推進に伴う教育ビッグデータ活用について考える。常識を疑う視点を持つことで、考え抜く力を養う。

コロナ禍で露わになった、お寒い日本のデジタル事情

岡本 裕一朗

岡本 裕一朗

玉川大学 客員教授
1954年、福岡県生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得満期退学(哲学・倫理学)。博士(文学)。玉川大学名誉教授。哲学の諸問題を、幅広い観点から領域横断的に研究している。思考実験を使った哲学入門書として、2019年発行の『哲学の世界へようこそ。』(ポプラ社)、また近著として『哲学と人類』(文藝春秋社)など。

2019年末から中国で始まり、年が明けて世界中でパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症。これは日本にも、大打撃を与えた(今もまだ与えている)。この出来事を歴史的にどう理解するかは、さまざま可能であろう。しかし、このとき何より明らかになったのは、デジタルテクノロジーによる社会的な運用が必要なことである。

日本では、早くから社会の IT(情報テクノロジー)化が叫ばれ、パソコンにしてもスマホにしても、誰もが使えるようになっている(と思われていた)。そのため、2020年4月に…

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