AI時代に教師は必要か? ニーチェが示唆した教育の終わり

教育のデジタル化・多様化が進む中、教師のあるべき姿も変わりつつある。よい教師とは何か、AI で学ぶ時代に教師は必要なのか、人間の教師に必要なものは何か――。ニーチェの言葉を通して考察する。

AI 時代に、「よい教師」は必要か?

岡本 裕一朗

岡本 裕一朗

玉川大学 客員教授
1954年、福岡県生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得満期退学(哲学・倫理学)。博士(文学)。玉川大学名誉教授。哲学の諸問題を、幅広い観点から領域横断的に研究している。思考実験を使った哲学入門書として、2019年発行の『哲学の世界へようこそ。』(ポプラ社)、また近著として『哲学と人類』(文藝春秋社)など。

いままで教育の問題を考えるとき、教師論は必須のテーマになってきた。教師の意義やあるべき姿が真剣に議論されてきた。ところが、近年のデジタルテクノロジーの発展によって、そんな問いも過去のものになるかもしれない。何かを学んだり、行動したりするとき、これまで、教師による導きが必要だと考えてきたが、そんな想定も変わりそうである。現代の人工知能の進化を見れば、もしかしたら人間の教師は不要になるのではないだろうか。

たとえば、囲碁やチェスなどにおいて、人工知能がプロの世界チャンピオンを打ち破ったことは...

(※全文:2409文字 画像:あり)

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