理論に見られる多主体連携による統合的アプローチ -理論編-
複雑化する社会課題の解決には、多様な主体による統合的アプローチが不可欠であり、「つなぎ役」となる人、組織、活動、しくみの重要性が高まっている。本稿では、SDGsに至る開発アプローチの歴史的変遷を踏まえ、理論的な側面から「つなぎ役」の役割と可能性を考察する。
本連載では、VUCA社会において「つなぎ役」が重要であるとし、その機能を有する人、組織、活動、しくみに焦点を当てている。そして、社会の状況が大きく変化していく中で、問題を解決するとはどういうことなのか、新しい価値をどう創りだしていくのか、どのような取組がなされているのか、どのようなアプローチやしくみが求められているのか、これらの問いに対し、政策、実践、理論といった様々な角度から深めている。
本稿では、政策や実践の取組を意味づけ、輪郭を生み出す理論を紹介しつつ、「つなぎ役」の姿について考察を深めていく。
開発アプローチの歴史から学ぶ
統合的問題解決に挑む姿は、今日私たちが取り組んでいる国際アジェンダ「持続可能な開発目標」(SDGs:2016-2030)に至る開発アプローチの歴史的変遷からも学ぶことができる。
筆者は、その論考(2020)1において、開発アプローチには2つの流れがあるとし、(1)貧困・社会的排除問題(人と人)の解決を目指してきた開発アプローチ(経済開発、社会開発、人間開発)と、(2)地球環境問題(人と自然)の解決を目指してきた開発アプローチ(持続可能な開発)を提示している(図1)。そして、1992年に開催された国連・環境開発会議(UNCED、通称リオ会議)を踏まえ統合したものであると指摘している。
(※全文:2188文字 画像:あり)
全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。