学ぶべきときはいつか? 「大学」という学びの場の可能性を考える

18〜20歳前後で大学に入学する学生の学びに対する意欲には大きなばらつきがある。社会に出てから学びの重要性がわかることも多いが、学びたいときに学べるだけでなく、未知との出会いの場でもある大学をより開いていくにはどうすればよいのだろうか。

松村 圭一郎

松村 圭一郎

岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。
所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社、第30回澁澤賞、第37回発展途上国研究奨励賞受賞)、『基本の30冊 文化人類学』(人文書院)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(ミシマ社)、『これからの大学』(春秋社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)がある。

4月から対面とオンラインとのハイブリッドではじめた講義は、回を重ねるごとに少しずつオンライン参加者が増えた。せっかく大学に入ったのだから、キャンパスに通って教室で授業を受けたい。そうした思いがある一方で、朝起きて着替えて、教室まで体を運ぶことは、やはりめんどうである。オンラインでも受講できる手軽さを前に、学生たちも葛藤したようだ。

授業の最後に授業形式について感想を書いてもらった。多くの学生が「オンラインよりも対面で受講したほうが集中して授業を聴くことができた」と書いていた。情報として授業内容を受けとるだけなら、対面でもオンラインでも変わらないように思える。だが目の前で人がこちらを見ながら話しかけてくる対面性が、聴く姿勢を引き出していることがわかる。

授業をする側としても、ひさしぶりの対面授業は新鮮だった。あらためてオンラインにはない膨大な…

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