管理社会化に立ち向かう学びへ 〜川喜田二郎・移動大学の試みから考える2
川喜田二郎は、情報は機械的に処理するだけでなく創造や生産も重要であると考え、多様な人々が共同生活を送りながら課題解決に取り組む移動大学を実践した。人と人との交わりが生む主体性や創造性は人間らしさや他者との連帯、組織活性化のカギともなる。
松村 圭一郎
1969年から「移動大学」をはじめた川喜田二郎は、当時から高度情報化社会の「危険性」に言及していた(『川喜田二郎著作集第8巻 移動大学の実験』)。人間は知・情・意がそろった存在にもかかわらず、現代は「知」だけが異常に突出している。だから人びとは事実よりも加工・貯蔵された間接情報に振りまわされ、扇動されやすくなる、と。インターネットで世界中の情報が手に入る時代になり、川喜田の指摘は、ますますその切実さを増している。
川喜田は、情報のやりとりには、定量的な機械的処理だけではなく、…
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