何を学ぶべきかを学ぶ 予測しがたい偶然の出会いが生む価値

人は進学や就職で選択を迫られる。そのつど、自らの興味関心や将来を自問自答し進む先を決めていくが、いざ進んだ先が想像と違っているということもよくある話だ。そこには、「学びたいことを学ぶ」だけではない、偶然から生まれる学びもある。

松村 圭一郎

松村 圭一郎

岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。
所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社、第30回澁澤賞、第37回発展途上国研究奨励賞受賞)、『基本の30冊 文化人類学』(人文書院)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(ミシマ社)、『これからの大学』(春秋社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)がある。

先日、大学3年生の学生が卒論テーマについて相談したいと言ってきた。もともと「観光」に興味があり、卒論でも観光をテーマに調査計画を立てていた。就職も観光業界を考えていたそうだ。ところが観光関連のインターンや企業説明会などに参加するなかで、ほんとうに観光に興味があるのかわからなくなってきたという。

私はその学生に「それはよかったね」と伝えた。興味があると思っていたものが、じつは違うかもしれない。そのことに気づけたのは大きな収穫だ。大学進学を考える高校生なら、多くの人が自分はどこの大学のどんな学部に行けばよいのか、迷うはずだ。そのとき、将来こういう仕事につきたいとか、こんな学問を学んでみたいなど、自問自答してなんらかの選択をする。だが当然、大学に入ってみると、…

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