何を学ぶべきかを学ぶ 予測しがたい偶然の出会いが生む価値
人は進学や就職で選択を迫られる。そのつど、自らの興味関心や将来を自問自答し進む先を決めていくが、いざ進んだ先が想像と違っているということもよくある話だ。そこには、「学びたいことを学ぶ」だけではない、偶然から生まれる学びもある。
松村 圭一郎
先日、大学3年生の学生が卒論テーマについて相談したいと言ってきた。もともと「観光」に興味があり、卒論でも観光をテーマに調査計画を立てていた。就職も観光業界を考えていたそうだ。ところが観光関連のインターンや企業説明会などに参加するなかで、ほんとうに観光に興味があるのかわからなくなってきたという。
私はその学生に「それはよかったね」と伝えた。興味があると思っていたものが、じつは違うかもしれない。そのことに気づけたのは大きな収穫だ。大学進学を考える高校生なら、多くの人が自分はどこの大学のどんな学部に行けばよいのか、迷うはずだ。そのとき、将来こういう仕事につきたいとか、こんな学問を学んでみたいなど、自問自答してなんらかの選択をする。だが当然、大学に入ってみると、…
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