学ぶ欲求の先にある、教える欲求 経験価値を高める深い学びとは

歳を重ねると心はだんだん高い欲求を求めるようになる。それゆえ学んだことを人に教えたくなる。だが教えることはそう簡単ではない。これを解決する方法が、実は教育の本質につながっていく。

歳をとり、経験を積むと、なぜ教えたくなるのか

上田 隆穂

上田 隆穂

学習院大学経済学部教授。博士(経営学)。
1953年三重県生まれ。東京大学経済学部卒業後、(株)東燃を経て一橋大学大学院に進み、86年学習院大学へ。近著に『生活者視点で変わる小売業の未来~希望が買う気を呼び起こす商圏マネジメントの重要性~』(単著、宣伝会議2016)。石川県能登町「地域振興総合アドバイザー」、岐阜県恵那市「観光協会顧問」公益財団法人日本醸造協会評議員

お金も貯まれば、貯めるだけでなく、使うことでより良い状態になりたいと考えるし、特に知識・智慧は減らないので自分が向上したことを確認するために使ってみたいものである。また以前連載で述べたことだが、子供の手が離れるとボランティア活動がしたくなり、特にシニアは体力に自信がないので、これまでの知識を使ってボランティア活動をしたくなるということもある。これらは経験を積むと教えたくなることをある程度説明している。

一歩進んでさらに心理学的な視点から学ぶ者の心を覗くと「マズローの欲求5段階説」と「自己呈示欲求」が関連してくるようだ。前者は、人間の欲求は5つの…

(※全文:2350文字 画像:あり)

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