ドイツ流デュアルシステムに見る 産業界から見た実務家教員の意義

大学等で実務家教員の登用が進む一方、供給元の企業側では人材流出などを懸念する向きもある。しかし、社内から実務家教員を輩出する意義の理解が深まれば、実務家教員の一層の普及が期待できる。人的資本論に詳しい奥村隆一氏に、産業界から見た意義などを聞いた。

実務家教員を目指すことが、キャリア形成の新たな選択肢に

――文部科学省が主に高等教育機関に「実務家教員」の登用を推進しています。産業界や企業の反応をどのように分析されていますか。

奥村 隆一

奥村 隆一

株式会社 三菱総合研究所 キャリア・イノベーション本部 主席研究員
1968年神奈川県生まれ。博士(工学)、一級建築士。1994年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年、三菱総合研究所に入社。2021年3月東京工業大学情報理工学院博士課程修了。少子高齢問題や雇用・労働政策に関わる研究を行う。著書に『図解 人口減少経済 早わかり』(中経出版)などがある。

実務家教員の割合は、大学では毎年の採用教員数の2~3割、専門職大学院では5割を占めると言われています。2019年に専門職大学が設置されたことも相まって、今後はさらに志望者が増えていくことが想定されます。しかしその一方、実務家教員の供給元である産業界及び企業側はこうした実態をほとんど把握できていません。

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