日経ビジネス編集長が語る 広報とメディアの間の『ずれ』にこそ価値がある

SNSやデジタルが全盛の時代に、広報の役割はかつてないほど重要性を増している。企業が伝えるべきメッセージは事業や業績だけでなく、働き方や人的資本、社会的価値にまで広がりを見せる中、メディアはどのような広報活動に価値を見出しているのか。『日経ビジネス』編集長の熊野信一郎氏に、理念に基づく広報のあり方と、印象的な企業広報の事例、これから求められる次世代広報の条件について話を聞いた。

経営者と広報の一体感が
適切なコミュニケーションを生む

熊野 信一郎

熊野 信一郎

日経ビジネス編集長
  1974年、広島県出身。1998年東京大学文学部卒業後、日経BPに入社し「日経ビジネス」編集部に配属。記者として自動車産業・製造業を中心に幅広いミクロ取材を経験。2007年から2012年まで香港支局。2016年に日経ビジネス副編集長。2017年4月から日本経済新聞社に出向し企業報道部次長(デスク)として自動車業界などを担当。2019年4月に日経ビジネスに復帰。金融・マクログループやエレクトロニクス業界を担当。2022年、日経ビジネス編集部長。2024年4月から現職。

── ビジネスメディアの編集長という立場から見て、優れた企業広報とはどのようなものでしょうか。

パターンはいくつかありますが、取材したときに「いい話が聞けた」と感じるのは、広報の方々が周到に準備した上で、経営者が自分の言葉で語れる環境を作っている企業です。広報担当者が資料やデータを周到に準備し、経営者がそれを自身の中に落とし込んでいると、想定にない質問を問いかけても、自分の言葉で考えて答えてくれるものです。私たちは言葉使いや行間に表れる経営者本人の悩みや葛藤といった内面の部分も伝えたいと思っているので、そういうインタビューはとても実り多いものになります。

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