特集1 理念に基づく経営と広報 社会を動かすナラティブ人材

理念経営の系譜と最先端

大量の文章や画像を、AIが一瞬で、いくらでも生成できる時代になった。情報はもはや希少ではない。希少になったのは、その言葉を「誰が、何のために発したのか」「言葉と行いが一致しているか」という、人間にしか担保できない信頼のほうである。

理念に基づく経営――パーパス経営の重要性は、いまや広く認められている。ミッション・ビジョン・バリュー(MVV1)を定め、自社のパーパス2を社会に掲げる企業は、世界でも国内でも、もはや珍しくない。その意義に正面から異を唱える声は、多くないだろう。だが同時に、理念経営の限界もまた、洋の東西で繰り返し指摘されてきた。立派な言葉を掲げながら、実態がそれに伴わない――いわゆる「パーパスウォッシュ」3である。問われてきたのは、理念が大切かどうかではない。それが本当に機能するのか、という一点だった。

そこで、AI時代に、この問いをもう一度立て直したい。もちろん、いま経営が向き合う課題は理念だけではない。AIの奔流、地政学的な緊張、経済の不確実性――中心に置かれるテーマは数多い。だが、信頼が希少になったいまだからこそ、理念は、そしてそれを社会へ差し出す広報は、あらためて重みを増している。本特集が光を当てたいのは、この二つの言葉だ。理念(パーパス)と、広報(コーポレート・コミュニケーション、その責任者であるCCO4)。理念は、掲げるだけでは力を持たない。それが共有され、信頼へと変わってはじめて、経営を動かす。本特集は、この二つを出発点に、その道筋を考えていきたい。

(※全文:8087文字 画像:あり)

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