企業の将来像から逆算し、次の経営を担うCEOを選ぶ
次のCEOを誰に託すか。その答えは、企業の将来像から導かれる。『企業価値を高めるコーポレートガバナンス改革 CEOサクセッション入門』(文眞堂)の著者、黒木彰子教授に、候補者層の築き方や交代時期の見極めなど、企業価値の持続的な向上につなげる要諦を聞いた。
CEOサクセッション
成否を分けるポイント
黒木 彰子
帝京大学 経済学部 教授
金融機関、外資系コンサルティング会社、大手ITサービス企業を経て、東証プライム上場の中堅IT企業で取締役執行役員CFO・CHROを務め、国内外の財務会計、グローバル人事、サステナビリティに携わる。2022年4月より現職。現在、上場企業の社外取締役や厚生労働省所管の公的年金資産運用委員会委員長代理も務めている。
黒木彰子著『企業価値を高めるコーポレートガバナンス改革 CEOサクセッション入門』文眞堂、2025年5月30日発行、2,420円(税込)、230頁。2026年7月の金融庁・東証によるCGコード改訂、経産省「成長投資ガイダンス」を反映した第2版は同年11月刊行予定。
── 企業におけるCEOサクセッションの重要性と、具体的な進め方について教えてください。
企業の将来を誰に託すのか。CEOの選任は、取締役会が担う最も重要な戦略的意思決定の一つです。CEOサクセッションは、企業の将来像から候補者を育て、見極め、最適な一人へとつなぐ継続的な営みといえます。その判断は、株主、社員、顧客、取引先をはじめ、幅広いステークホルダーに影響を及ぼします。
出発点は、「誰を選ぶか」より先に、「将来、どの事業・市場で、どのような価値を提供する会社を目指すのか」を議論することです。企業の存在意義や強みを確認し、事業ポートフォリオ、成長投資、資本配分まで具体化すると、次の経営を担う人材像が見えてきます。
次に、企業の将来像を踏まえ、CEOに求める要件を言語化します。例えば、①未来を構想する力、②戦略を実行し資源を配分する力、③企業理念と価値観を体現し、対話を通じて組織の判断と行動の軸を育てる力、④取締役会や投資家と対話する力、という4つの軸で捉えることができます。経験、能力、資質、価値観を具体的な行動まで落とし込むことで、候補者を見極める共通の物差しが生まれます。
そのうえで、候補者の選出、育成、評価、候補者層の見直し、最終指名、就任後の支援へとプロセスをつなぎます。社内外の人材を共通の軸で比較し、要件との差を育成課題として明確にします。こうしたプロセスを継続的に見直し、更新していくことが、サクセッションの実効性を高めます。
(※全文:2263文字 画像:あり)
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