チャレンジングな目標はなぜ効くのか?心理的資本とエンゲージメントの関係

仕事の目標が難しいほど活力や熱意、没頭感が高まる人がいれば、そうではない人もいる。本稿では目標の難易度・心理的資本・エンゲージメントの関係を紹介しながら、実務へのヒントを提示する。

はじめに

尻無濱 芳崇

尻無濱 芳崇

神奈川大学 経営学部 准教授
1986年鹿児島県生まれ。2013年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。山形大学准教授などを経て現職。非営利組織や医療・福祉分野の管理会計を研究。主要論文に “Target Difficulty, Psychological Capital, and Work Engagement”(European Accounting Review)、 “The positive and negative consequences of ‘managerialization’”(Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly)がある。

従業員の「エンゲージメント」は、いま多くの企業や自治体、人材育成の現場で注目されています。ワーク・エンゲージメント(以下、エンゲージメント)とは、仕事への活力や熱意、没頭感を指すもので、従業員一人ひとりが仕事に前向きに取り組み、成果を出すための重要な要素です。普段私たちが仕事をしていると、仕事の「難しさ」によって意欲や熱意が変わることを実感することも多いのではないでしょうか。ときには難しい目標に対して意欲が高まる一方、逆に難しすぎると気持ちが萎えてしまうこともあります。また、同じ困難な目標でも、意欲的に立ち向かう人と、不安で消極的になってしまう人がいます。この違いは、どこから生まれるのでしょうか。

本稿では、私と横浜市立大学の黒木淳教授と共同で実施した実証研究「Target Difficulty, Psychological Capital, and Work Engagement」の成果をもとに、目標の難易度・心理的資本・エンゲージメントの関係について、実務へのヒントとともにご紹介します。

(※全文:2283文字 画像:あり)

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