武蔵美教授が滋賀で人づくり デザイン教育で広げる未知の可能性
各地で産学連携の人材育成プログラムが展開中だ。滋賀県長浜市でも2022年、地域社会の発展と人材育成を目的に武蔵野美術大学と地域連携協定を結んだ。同大学で教鞭をとる一方、故郷の長浜市での人材育成にも尽力する岩嵜博論教授に、これまでの手応えと今後のビジョンを聞いた。
長浜出身者たちのつながりで
地域の「やりたいこと」を応援
岩嵜 博論
──滋賀での地域振興や人材育成に関わるようになった背景や動機をお聞かせください。
故郷である滋賀県長浜市での活動を始めたのは15年ほど前、2009年ごろのことです。そのころ、地方が主軸になる社会がやってくると感じ始めていました。もっとも、長浜で過ごしたのは高校生までで、大学から東京に出てきていたので、長浜には大人のネットワークが全くありませんでした。そこで地元に残っていた古い友人に地域のキーパーソンを紹介してもらい、ゼロベースでネットワークを築くところから始めました。そうしているうちに、似たような志を持っている人たちがいることが分かり、彼らと試しにワークショップを開いてみたのが始まりでした。
社会を俯瞰的に見ると、戦後の高度経済成長期以降、都市部にあらゆるリソースが集中し、「都市がエラくて地方はダメ」という価値観が定着してしまった。都市で生まれたトレンドが地方に伝播していくのが当然と考えられるようになりました。滋賀県も例外ではなく、…
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