熟達者の経験則を言語化、「パターン・ランゲージ」は学びを誘発する

既存の確立された企業にも、イノベーション(=新価値創造)は求められているが、社内の制度を考えるときに、いくつかの大きな誤解が生じている。「新価値創造を成功させるための本質的な課題は何なのか」について解説する。

実践のコツや勘所を記述、
「型」を明示して学びを支援

井庭 崇

井庭 崇

慶應義塾大学 総合政策学部 教授
1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2003年同大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。2009~2010年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員、2018~2019年には、オレゴン大学カレッジ・オブ・デザインPortland Urban Architecture Research Laboratory(PUARL)客員研究員として研究に従事。株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長等も兼務。著書に『クリエイティブ・ラーニング』、『パターン・ランゲージ』(編著、慶應義塾大学出版会、2019年)、『ジェネレーター』(共著、学事出版, 2022年)など。

── 井庭先生は、様々な領域における人間行為のパターン(型)を可視化・言語化した「パターン・ランゲージ」について研究されています。パターン・ランゲージと学びや教育の関係について、どのように捉えるべきですか。

パターン・ランゲージとは、実践におけるよいやり方の本質を言語化したものです。実践にはコツや勘所があり、それを押さえることで、自分でもよい実践ができる。例えばプレゼンテーションであれば、最も伝えるべきメッセージを一つに絞り、それを核としてプレゼンを構成することが大切であり、それは「メインメッセージ」という名前のパターンになります。しかし、そのコツを知らない人はメインメッセージなどを考えずに、つい情報を羅列してしまいます。

(※全文:2086文字 画像:あり)

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