目標とマインドセットから見た 無気力のメカニズムとは?

ストレスの多い現代社会。「やる気がでない」「気力がない」といった「無気力」に、なぜ人は陥るのか。『無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント』の著書である千葉大学教育学部教授の大芦治氏に心理学の観点から無気力のメカニズムについて話を伺った。

無気力を学習する
学習性無力感とは?

大芦 治

大芦 治

千葉大学 教育学部 教授
博士(心理学)。早稲田大学第一文学部心理学専修卒業後、上智大学大学院 文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。専門は教育心理学、心理学。主な著書に『無気力なのにはワケがある : 心理学が導く克服のヒント』(NHK出版)、『心理学史』(ナカニシヤ出版)、『心理学をつくった実験30』(筑摩書房)など。

── 先生は教育心理学、心理学が専門ですが、学習性無力感とはどのようなものでしょうか。

大芦 「やる気がでない」「気力がない」といった状態を「無気力」と呼びますが、この現象に、心理学の領域からはじめて科学的な説明を試みたのが、米国の心理学者マーチン・セリグマンらが1967年に行った動物実験でした。この実験で、セリグマンらは、実験対象であるイヌが、「自分の力ではどうすることもできないこと」(コントロール不可能性)を学んで意欲を失ってしまい無気力に陥った。つまり無気力を学習してしまった状態になることを発見し「学習性無力感」と名付けました。

(※全文:2528文字 画像:あり)

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