加速するメリトクラシーの再帰性 能力不安から見る「選抜」のいま

「社会人基礎力」「学力の3要素」「非認知能力」等、予測不可能な時代に向けて、我々は様々な能力が必要だと訴える。『暴走する能力主義』の著者である東京大学大学院の中村高康教授は、現代社会は「選抜」においても「メリトクラシーの再帰性」が強まっているのではないかと指摘する。

メリトクラシーの再帰性とは

中村 高康

中村 高康

東京大学大学院教育学研究科教授
博士(教育学)。東京大学助手、群馬大学講師、大阪大学助教授を経て現職。第2回社会調査協会賞(優秀研究活動賞)受賞。主な著書に、『暴走する能力主義――教育と現代社会の病理』(ちくま新書)、共著に『進路選択の過程と構造』(ミネルヴァ書房)などがある。

東京大学大学院教育学研究科の中村高康教授は著書『暴走する能力主義』の中で、「メリトクラシーの再帰性」という概念を提唱している。メリトクラシーとは能力主義とほぼ同様の意味で使われる。能力主義は、もともと自分自身を問い直す性質を持っているという。それが「メリトクラシーの再帰性」である。

「しばしば私たちは、能力を簡単に測れるものと誤解して、これからは〇〇能力が必要な時代といったりしますが、例えばコミュニケーション能力一つをとっても、ある人からみればコミュニケーション力が高く見えても…

(※全文:2640文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。