文系と理系の境界を越え、広い視野と深い専門性を併せ持つ人材を育む

近年、国公立大学などで「文理融合」を掲げる学部の開設が増えているが、実際は既存学部の看板を掛け直しただけということも多いのが実情だ。筑波大学が2021年4月から新たに学生を受け入れる「総合学域群」は、その点、既存の「文理融合」学部とは一線を画すという。その意義と魅力に迫った。

1年次限定の特別な学びの場、「総合学域群」が誕生

山中 弘

山中 弘

国立大学法人筑波大学 総合学域群長、特命教授
1976年早稲田大学第一文学部卒業。1986年筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程修了。文学博士(宗教学・宗教社会学専攻)。愛知学院大学教授、筑波大学人文・文化学群長などを経て現職。日本宗教学会会長。最新著書は『現代宗教とスピリチュアル・マーケット』(弘文堂)

国公立大学などでは近年、「文理融合」を掲げる学部・学科の開設が増えている。その背景にあるのは、多様化・複雑化し急激なスピードであらゆるものが動く現代社会において、一つの専門性の枠では対応しきれない問題が増えていることだ。文理の枠を越えて物事を考えられる人材育成が喫緊の課題だが、そのような中、筑波大学が既存の「文理融合」学部とは一線を画する新たな学びの場を発表し、注目を集めている。

それは、2021年4月にスタートする「総合学域群」。ここに籍を置くのは2021年度入試より新たに始まる「総合選抜」を経て入学した1年次だけだ…

(※全文:2681文字 画像:あり)

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