全国が注目する被災地の学校、「未来創造探究」で変革者を育てる

福島県双葉郡に全国から視察に訪れる中高一貫校がある。2015年に高校が開校し、2019年に中学校が併設された「県立ふたば未来学園中学校・高等学校」だ。同校は、探究学習をカリキュラムのコアに位置付けた「未来創造型教育」を推進。自校での取組を全県、全国へと広げている。

生徒たちが地域課題を解決、
探究と教科を往還する

南郷 市兵

南郷 市兵

福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校 副校長
1978年、東京都生まれ。2001年慶應義塾大学を卒業し、IT企業勤務を経て文部科学省入省。東日本大震災後は被災3県の学校で、子供たちが地域復興等に取り組む「創造的復興教育」を推進。原発災害で避難対象となった福島県双葉郡の教育復興に携わり、2015年4月、福島県立ふたば未来学園高等学校副校長に就任、2019年4月に同中学校開校とともに中高副校長を兼ねる。中央教育審議会初等中等教育分科会委員を務めた。

ふたば未来学園の生徒は課題解決型のプロジェクト学習に取り組み、実社会で山積している困難な課題に挑戦する。中学校では、身近な地域を学習フィールドにして福島の歴史・伝統・文化を学びつつ、地域の「ひと・もの・こと」との関わりを通じて、自らの生き方を探究。また、福島が抱える課題に向き合い、未来の社会の姿を考える。

高校ではさらに取組を発展させて、本格的な課題解決の実践を重視する「未来創造探究」に取り組む。生徒たちは、福島や世界の課題を解決するためのプロジェクトを企画して実践し、成果発表を行う。ふたば未来学園では、中学校・高校を合わせて常時250を超えるプロジェクトが動いているという。

副校長の南郷市兵氏は自校の取組について、次のように説明する。

「各教科での学びを実践に活かしたり、…

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