よしの農林業週末塾 五感を通して、食の農で学ぶ「心の豊かさ」

吉野の里、昔ながらの素朴な風景が残る下市町に2015年、「よしの農林業週末塾」が生まれた。生き方を見直す契機にしたいと、これまで100名以上が参加し、関係人口創出にも貢献している。代表を務める秋谷奈美氏に、事業立ち上げの経緯とこれまでの手応え、今後のビジョンを聞いた。

自然からのパワーに可能性
地域おこし協力隊として事業化

秋谷 奈美

秋谷 奈美

よしの農林業週末塾 代表
東京で20年の社会経験を積み、ある時から都会生活に違和感を覚える。自分の本質を失いかけていた時に「農業」に辿り着く。「農業は人を癒す」ということを自ら体感。2012年奈良県に移住し、現在は奈良女子大学の非常勤職員として地域に根差した教育にも従事。2017年より下市町広橋にてゲストハウスAPRICOTを営む傍ら、ヨガインストラクター、カウンセリング、タイマッサージ、Cafe、ヨーロッパ民泊や歴史ツアーのコーディネートなど、吉野を拠点に活動している。

──「よしの農林業週末塾」を立ち上げた背景にある問題意識をお聞かせください。

私は埼玉県の浦和に生まれたのですが、子どもの頃に住んでいたマンションは、玄関を開けると目の前に線路が7本も通っているような立地でした。とても都市的な住環境だったうえ、砂場遊びもさせたがらない教育熱心な両親のもとで育ちました。まだ子どもが多い時代でしたから、何かにつけ人と競争することが奨励されていて、そこに違和感を覚えながらも、親の期待に応えようしながら育ち、卒業後はごく普通に企業に就職しました。

でも世間で「普通」とされる社会生活に馴染めず、また日本の政治に幻滅していたこともあり、とにかく日本を出ようとイギリスに渡りました。そこでは、日頃は都市で暮らしながらも週末になるとハイキングを楽しむなど、…

(※全文:3539 文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。