奈良市、子育て世帯の住宅購入に最大40万円の新支援金 7年連続で転入超過
奈良市は2026年7月7日、市外から転入して市内で住宅を購入する若年子育て世帯に最大40万円を支給する「奈良市子育て移住・定住支援金」の受け付けを始めた。市は11月2日、この新制度に加え、実際の暮らしを体験できる「お試し移住支援制度」や転入者向けの無料観光案内サービスなど、移住を考える人向けの支援策をまとめて紹介した。
奈良市では、転入者が転出者を上回る「転入超過」が2019年から7年続いている。2025年の社会増は424人だった(総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」、2025年は奈良市住民基本台帳による)。市は、首都圏や近畿圏からの新たな暮らしの場として注目を集めているとしている。
市によると、奈良市は世界遺産をはじめとする歴史と豊かな自然に囲まれながら、大阪や京都へ電車で約30〜40分で行ける。日本経済新聞社と日経BPの「日経xwoman(クロスウーマン)」による「共働き子育てしやすい街ランキング2025」では、奈良市は関西2位、全国7位だった。大東建託株式会社の「いい部屋ネット 街の幸福度ランキング2025<全国版>」では、奈良県が都道府県別で5年連続の1位となった。同社の「住みたい街(自治体)ランキング2026<奈良県版>」は奈良県に住む人の回答をまとめたもので、奈良市は8年連続で首位を保つ。
新たに始まった支援金の対象は、夫婦ともに39歳以下の世帯(ひとり親世帯を含む)のうち、中学生以下の子どもを扶養しているか、妊娠中の人がいる世帯だ。奈良市内で新築や中古の一戸建て、マンションを購入することに加え、転入する直前の1年間に市内に住所がなかったことなどが条件となる。支給額は1世帯30万円が基本で、「奈良市立地適正化計画」で定めた居住誘導区域か居住環境維持区域に転入する場合は、10万円を加算して40万円を支給する。
手続きは2段階に分かれる。まず、物件の契約から6カ月以内で、かつ転入する前に「事前申出(エントリー)」を済ませる。そのうえで、転入から6カ月以内に「交付申請(本申請)」を行う。対象は2026年7月7日以降に売買契約や工事請負契約を結んだ物件で、すでに転入した人は支給を受けられない。エントリーの受付期間は2027年1月31日までだが、申請が予算枠に達した時点で締め切られる。
移住先として奈良市を検討している段階で使える制度もある。2021年10月に始まった「お試し移住支援制度」は、いきなり移住するのは不安だという人に向けた体験支援だ。奈良市外に住み、移住や定住を検討していることなどが利用の条件となる。市内19カ所の対象宿泊施設に2泊から10泊まで滞在すると、市が宿泊費の一部を1人1泊あたり2,000円分、最大2万円分補助する。補助を受けられるのは申請者と同行者1人までで、QUOカードで後日支給される。
2026年6月1日には、この制度に「まち案内」のサービスが加わった。地域のゲストハウスオーナーや地元ホストが、スーパーや病院、通学路など、日常の生活環境を直接案内する。対応する宿泊施設は6カ所で、利用の希望は予約時に宿へ伝える仕組みとなっている。制度の申請は旅行出発日の10営業日前までに行う必要がある。2026年度は2027年3月29日のチェックアウト分までが対象で、予算の上限に達した時点で終了する。
転入した後の暮らしに向けた支援もある。「知って奈良ウェルカムガイド」は、奈良市が特定非営利活動法人なら・観光ボランティアガイドの会(朱雀)と協働で実施する観光案内サービスだ。転入届の提出から1年以内であれば、ボランティアガイドの案内を1世帯1回、無料で受けられる。コースは「奈良公園(東大寺・興福寺)」「西ノ京(薬師寺・唐招提寺)」「平城宮跡」の3つから選べ、いずれも所要時間は2.5時間となっている。
「奈良市省エネ家電購入促進事業補助金」では、自身が住む市内の住宅に設置するために家電を買う奈良市民が、市に登録された家電販売店で省エネ性能の高いエアコンや冷蔵庫を購入する際、1台につき3万円の値引きを店頭で受けられる。対象は統一省エネルギーラベルが3つ星以上で、値引き前の価格が税込6万円以上の新品に限られる。値引きを受けられるのは、購入者1人につきエアコンと冷蔵庫それぞれ1台までだ。購入の対象期間は2026年7月15日から2027年2月15日までで、先着順のため予算がなくなり次第終了する。
市は移住に関する情報を、奈良市公式LINEと移住ポータルサイト「ならりずむ。」で発信している。公式LINEを友達登録し、受信設定で「移住・関係人口」を選ぶと、移住イベントや最新の支援情報を受け取れる。ポータルサイトからは、移住ガイドブックの無料請求や、オンライン・窓口での移住相談の申し込みができる。