【11月2日関芳弘文科大臣会見要旨】東大総長選考の公表文書、選考理由の説明はなお不十分

関芳弘文部科学大臣は2026年11月2日、記者会見を開いた。冒頭の発言はなく、記者との質疑応答のみが行われた。質疑応答では、同志社国際高等学校の研修旅行中に起きた事故を巡る学校法人同志社の記者会見、朝鮮学校の校舎修繕に対する自治体の補助金、皇居三の丸尚蔵館の全面開館、東京大学の総長選考に関する文書の公表、サイバーセキュリティ人材の育成について答えている。

同志社の会見、説明は不十分との認識

記者は、同志社国際高等学校(京都府)の沖縄研修旅行中に起きた事故を取り上げた。事故は2026年3月16日、沖縄県名護市の辺野古沖で発生し、生徒1人が亡くなり、17人が負傷した。文部科学省は5月22日、同校の研修旅行は事前の計画や当日の対応、安全管理、教育活動の状況などの面で著しく不適切だったとして、学校法人同志社に改善を求める指導を行った。同じ日に、同校の学習活動が教育基本法第14条第2項に違反し、政治的中立性に反するとの判断も示している。

学校法人同志社は10月22日付で、法人と利害関係のない外部の専門家による「教育の中立性及び適切性に関する検討委員会」を設置した。10月30日の記者会見では、事故後の対応状況や安全管理上の問題点、検討委員会の設置などについて説明している。記者は、法人が文部科学省の判断を受けて検討委員会を設置したと説明し、会見では法人側から研修などについて教育の中立性に問題があったとの発言もあったと述べた。そのうえで、検討委員会で何を検証すべきと考えるか、また会見をどう受け止めたかを尋ねた。

関大臣は、事故から約7カ月半が過ぎ、学校法人としての記者会見がようやく初めて開かれたと述べた。会見は約5時間に及び、さまざまな懸念や質問が出されたと認識しているという。一定の説明はあったものの、十分な説明がなされたとは考えていないとの見方を示した。

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検討委員会に対しては、在校生や卒業生、保護者、遺族を含む幅広い関係者から十分に聞き取りを行うよう求めた。会見で出された疑問も踏まえ、丁寧に検証する必要があるとしている。学校法人と学校には、会見で答えきれなかった点も含めて遺族をはじめとする関係者に誠実に向き合い、社会への説明責任を果たすことが重要だと強調した。

朝鮮学校への補助金、適正な執行求める

記者は、朝鮮学校に対する自治体の補助金について質問した。一部の自治体では、校舎が授業でほとんど使われていないにもかかわらず、修繕費の補助金が支給されていた事案があったという。

記者によると、朝鮮学校では在校生の減少に伴って休校や統合が続いている。学校の名前は残っていても授業は別の校舎に集約され、元の校舎は実際には使われていない例が全国で相次いでいるとみられる。記者は、使われていない校舎への補助が続いていた実態を踏まえ、校舎の修繕を中心とした補助金のあり方について、文部科学省として自治体への注意喚起や実態調査などを考えているかを尋ねた。

関大臣は、朝鮮学校への補助金は各自治体の判断と責任において交付されているものだと説明した。文部科学省は2016年3月の文部科学大臣通知を踏まえ、これまでもさまざまな機会を通じて自治体に2つの対応を求めてきたという。1つは補助金の趣旨や目的に沿った適正で透明性のある執行の確保、もう1つは補助金の趣旨や目的に関する住民への適切な情報提供だ。

今後についても関大臣は、各自治体で補助金が適正かつ透明に執行されるよう取り組む考えを示した。実態調査の実施など、新たな対応には言及しなかった。

皇居三の丸尚蔵館の全面開館に期待

皇居東御苑(東京都千代田区)にある皇居三の丸尚蔵館は、11月3日に全面開館する。同館は独立行政法人国立文化財機構が運営する国立博物館だ。記者は、国宝を含む作品を収蔵し、面積を広げて全面開館する同館への期待を尋ねた。

関大臣はまず、同館の役割を説明した。皇室に代々受け継がれた絵画や書、工芸品などの美術品を保存し、調査研究や公開を通じてその価値を広く発信する施設だという。国宝の狩野永徳「唐獅子図屏風」や伊藤若冲「動植綵絵」をはじめとする優れた収蔵品を持つ同館について、全面開館によって、より多くの人がその魅力に触れられる環境が整ったと受け止めている。

関大臣自身も、10月30日に開かれた全面開館の記念式典と内覧会に出席した。新しい施設と展覧会を見て、本当に素晴らしい内容だったと感想を語った。今後は、皇室に伝わる名品を後世に確実に引き継ぐとともに、その価値や魅力を国内外に広く伝える拠点として、同館がさらに大きな役割を果たすことを強く期待するとした。

東大の選考経緯文書に「一定の進展」

東京大学総長選考・監察会議は9月28日、大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授を次期総長予定者に選んだ。同じ日に行われた学内の意向投票では、2回目の投票で執行役・副学長で工学系研究科教授の染谷隆夫氏が投票総数2169票のうち1107票を得て1位となり、藤垣氏は553票で2位だった。選考理由について学内外から疑問の声が相次ぎ、文部科学省は10月20日、東京大学に選考過程の検証を依頼した。総長選考・監察会議は10月30日、11ページにわたる文書「次期総長予定者の選考経緯について」を公表し、会議の委員による無記名投票の結果などを明らかにした。記者は、公表された文書への受け止めと、文部科学省が求めた検証と速やかな報告が果たされたかどうかを尋ねた。

関大臣は、今回の文書は教職員有志が10月27日付で出した再度の質問への回答にはあたらないと指摘した。そのうえで、総長予定者の決定に至るまでの議論の進め方や、総長選考・監察会議での投票結果が示された点については、選考過程の説明に一定の進展があったと受け止めているという。

一方で、選考理由の説明はまだ明確になされていないとの認識を示した。説明が足りない点として関大臣が挙げたのは、総長選考・監察会議が設定した評価項目に基づいて候補者をどう評価し比較したのか、その評価がどのような客観的事実に基づいていたのか、意向投票の結果と異なる選考に至った理由は何だったのか、の3点だ。文部科学省は、評価項目に照らして客観的事実に基づき候補者を比較検討したことを示し、判断の合理性を十分に説明するよう求めている。

今後の対応について関大臣は、東京大学の監事と運営方針会議に対し、今回の選考過程の検証を依頼していると説明した。監事と運営方針会議による検証も含めて、東京大学が説明責任を十分に果たすよう、引き続き注視していく考えだ。

続いて別の記者が、文部科学省が問題視しているのは選考手続きの適正性なのか、それとも総長選考・監察会議の判断そのものなのかを確認した。関大臣は、手続きと判断の両方を含め、全般的な説明が必要だと答えた。学内外からなお多くの質問が出ている以上、評価項目に照らした客観的事実に基づく比較検討がどのように行われたのかを示し、判断の合理性を十分に説明してほしいと重ねて求めた。

さらに、次期総長予定者に選ばれた藤垣氏本人をどう受け止めているかとの質問も出た。関大臣は、藤垣氏個人について特に意見を述べる段階にはないと答えた。今の段階で求めているのは、総長選考・監察会議が評価項目に照らし、客観的事実に基づいてどのように候補者を比較し判断したのか、その進め方を十分に説明することだけだとした。

サイバー人材の育成、大学・高専で推進

記者は、不正アクセスなどによる情報漏えいの被害を取り上げ、企業でサイバーセキュリティに強い人材の重要性が高まっていると指摘した。サイバーセキュリティ人材の育成を促すために、文部科学省が大学や高等専門学校を中心にどのような取り組みを進めているかを尋ねた。

関大臣は、サイバー攻撃の脅威が深刻になっており、対応できる人材の育成と確保は重要な課題だと認識していると答えた。文部科学省は、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度などを通じて、産業界と連携しながら、大学や高専でセキュリティの基礎的な素養を身につける教育を後押ししている。セキュリティに関するモデル教材の普及にも取り組んでいるという。

さらに、「成長分野転換基金」を通じた支援も挙げた。文部科学省の資料によると、同基金の正式名称は「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金」だ。関大臣は、この基金を通じて、大学や高専がサイバーセキュリティを含む重点分野で高度な情報専門人材を育てる取り組みを支援していると説明した。関係省庁とも連携してこれらの施策を着実に進め、日本のサイバーセキュリティ人材の充実を図る考えを示した。

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