自己啓発の促進へ 企業に求められる「実効性のある支援」
「個人の意思に委ねるだけ」では、従業員の自己啓発を促進することは難しい。産業能率大学 総合研究所副所長の佐藤雄一郎氏は、「企業が一人ひとりの自己啓発を後押しし、組織全体の成長と個人のキャリア形成が好循環を生むような環境をつくることが大切」と説く。
日本型雇用の構造的な要因が
学び直しの促進を阻害

佐藤 雄一郎
学校法人 産業能率大学 総合研究所副所長 兼 マーケティング部長
青山学院大学法学部を卒業後、産業能率大学総合研究所に入職。その間、勤務を続けながら、2008年に32歳で社会人大学院の法政大学大学院政策創造研究科に入学。修士課程、研究生、博士課程を経て、2022年に博士号を取得。博士論文のテーマは、「自己啓発の促進に個人の学習方略と組織支援が及ぼす影響」。
── 佐藤先生は社会人大学院で学び、修士号・博士号を取得されて、「自己啓発」に関する研究に取り組まれています。社会人の自己啓発や学び直しについて、現状の課題をどのように見ていますか。
近年、学び直しや自己啓発、リスキリングなど、個人の雇用流動性を見据えた能力開発への関心が高まり、行政も積極的な支援策を打ち出しています。一方で厚生労働省の調査(2024年)によると、自己啓発の実施率は労働者全体で34.4%(正社員44.1%)、20代は41.6%にとどまり、まだ半数に届きません。実施している層を見ても、年間の延べ実施時間(推計)は労働者全体で42.2時間(正社員42.3時間)、20代46.8時間で、1日換算では10分に満たない状況です。
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