真珠養殖場の跡地に「多様な知」を集積 英虞湾を「海のシリコンバレー」に

英虞湾に点在する真珠養殖場の廃墟化が進んでいることに対して、「何か自分にできる故郷へ恩返したい」との思いで、廃業した実家の養殖場を複合リトリート施設「うみらぼ」へと再生した川野晃太氏に、地域への思いやこれまでの手応え、今後のビジョンを聞いた。

使われなくなった養殖場跡地
眠れるリソースを活かしたい

川野 晃太

川野 晃太

うみらぼ株式会社 代表取締役
三重県志摩市出身。鈴鹿高専専攻科修了。電気自動車用製品の事業開発、IT企業勤務を経て、現在は自動運転スタートアップの人事を務める。東京での会社員を続けながらも、地元への恩返しをしたいと一念発起し、空き家となった真珠養殖場を別の形で再生していくことで、地域への貢献を目指している。事業は主に2つ。宿泊や企業研修・合宿が可能な複合施設事業と、海や地域課題の解決を目指す人材支援事業を展開する。

──「うみらぼ」立ち上げの経緯や原動力をお聞かせください。

祖父、父の代まで、実家は三重県・伊勢志摩にある英虞湾で真珠養殖場を営んでいました。私が3代目になりますが、家業は継がず、関東でIT企業に勤めていました。

祖父が亡くなってから10年が経過したころ、コロナ禍で実家に帰省した際、養殖場跡地がかなり荒廃してしまっていることに改めて気づきました。岸壁が崩れかけ、桟橋や筏はすぐにでも撤去しないと危ない状況でした。

しかも、そうした状況はわが家だけではありません。地元には同じように荒廃した養殖場跡地が300カ所以上あります。リアス海岸で複雑な海岸線を持つ英虞湾には接道していない場所も多く、…

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