STEAM教育のデメリットをアートで解消

多分野を関連づけて学ぶSTEAM教育。VUCA時代に必要な総合的な力を育むとして期待を集めるが、どの学びも中途半端に終わってしまう危険も孕む。そうならないためには、どれかひとつを拠り所とする必要がある。それにはAが相応しいのでは? 在野の教育学者にして、STEAM教育の実践者が論じる。

教科横断的な「経験主義教育」の
最新版としてのSTEAM教育

大滝 世津子

大滝 世津子

鎌倉教育総合研究所 所長
博士(教育学)。1980年生まれ。東京女子大学卒業、東京大学大学院教育学研究科修士課程・博士課程修了。著書に『幼児の性自認――幼稚園児はどうやって性別に出会うのか』(みらい、2016年)、編著に『子どもと教育環境』(大学図書出版、2017年)など。

前回までアート教育について論じてきましたが、今回はいよいよSTEAM教育について考えたいと思います。その前にまず、STEAM教育とはそもそも何であるか、改めて確認しておくことにしましょう。

2021年の中央教育審議会答申では、STEAM教育は「各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育」と定義されています。「Aの範囲を芸術、文化のみならず、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts)で定義し、推進することが重要である」とも述べられており、これを踏まえると、STEAM教育とは科学、工学、技術、数学に加え、上記のような文系の広範な分野を網羅した概念といえるでしょう。

(※全文:2832文字 画像:あり)

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