女性リーダー育成のためには、「省察的に振り返る」学習機会が重要
女性の活躍推進が言われているものの、日本における女性管理職比率は、依然として国際的にも低い水準にある。女性リーダー育成について研究する東洋大学・堀本麻由子教授は、成人教育学の観点から、企業内の研修だけでなく社会全体で学びの場の構築が重要だと指摘する。
企業だけでなく社会全体で
学びの場を構築することが必要

堀本 麻由子
東洋大学 文学部 教育学科 教授
IT系グローバル企業に勤務後、米国大学院修士課程、日本の大学院博士後期課程を経て、2015年より、女性リーダー・リーダーシップ育成に関する海外研究者との国際共同研究、またアメリカの成人教育と専門職養成に関する思想を研究。専門は成人教育、生涯学習、専門職養成。
── 堀本先生は成人教育や生涯学習の観点から、女性リーダー(管理職)育成の研究に取り組まれています。
女性のリーダーシップについて、企業における管理職としてだけでなく、もっと広い視点が必要だと考えています。女性に限らずですが、人は様々なライフイベントの中で、いったん企業組織を離れたとしても、地域での活動やボランティアへの従事、子育て・介護など、様々な場面でリーダーシップを発揮する機会があります。
しかし、そうした場でのリーダーシップは社会的に認識されにくく、多くの場合、当人もそこでリーダーシップが培われているとは思っていません。私は企業組織だけでなく、地域コミュニティの女性リーダーに着目し、彼女たちのリーダーシップを育む学びの場の構築について研究しています。
企業の研修は、自社が求める人材像を想定し、「こういうスキル・能力を育てたい」という所属組織への適応を狙いとしたものが少なくありません。また、企業では女性活躍に向けた啓発的な研修プログラムも多くなっています。しかしそれでは、女性が指導的役割を担うためのリーダーシップ開発の機会としては不十分です。企業研修にも意義はありますが、その限界は認識しておく必要があります。
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