福山市立大学、情報工学部設置の届け出を文科省が受理 2027年4月開設へ

福山市立大学は2026年6月19日、新設する情報工学部情報工学科の設置に関する届け出が文部科学省に受理されたと発表した。少子化により地元進学者の減少が懸念されるなか、地域の学生を育成し、卒業後は備後圏域の企業への就職につなげる狙いがある。2027年4月の開設に向けて、新棟の建設や入学者選抜の準備が本格化している。

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入学定員は80人で、ものづくり産業のデジタル人材を育成する「デジタルものづくりコース」と、安心・安全な情報システムの構築・運用を担う人材を育成する「サイバーセキュリティコース」の2コース体制を敷く。

新設の背景

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速度的な進展や、脱炭素社会に向けた社会・経済システムの変革を受け、あらゆる産業分野で「モデルやデータを用いたデジタルものづくり」と「サイバーセキュリティ・情報通信ネットワーク」に関する知識・技術を持つ人材の確保が課題となっている。福山市立大学はこうした社会経済情勢や地域のニーズを踏まえ、地域のデジタル化やイノベーション創出に結びつく実践的な教育研究活動を通じて、地域の発展や企業の成長を支える人材を育成する方針だ。持続可能な地域社会の発展への貢献を、新学部設置の目的として掲げている。

入学者受け入れ方針では、情報工学分野を学ぶための基礎学力に加え、身につけた知識を活用して社会や地域の課題を分析し、解決策を導き出して論理的に表現する力、そして探究的に学びを深めようとする主体性を備えた学生を求めるとしている。

2つのコースで専門性を育成

情報工学部情報工学科は、モデルベース開発を中心にものづくりの知識・技術を学ぶデジタルものづくりコースと、情報通信ネットワークとサイバーセキュリティの知識・技術を学ぶサイバーセキュリティコースの2コースで構成される。

デジタルものづくりコースでは、モデルを構築してシミュレーションを重ねながら設計・開発を進めるモデルベース開発を軸に据え、計測・制御やIoT、組込みシステムに関する授業を通じてモデリング技術とシミュレーション技術を習得する。実験科目の「デジタルものづくり実験」では、2年次にデジタルものづくりの基本的な仕組みを学び、3年次にはモデルとデータの相互作用による新しい開発技術へと学びを発展させる構成になっている。卒業後の進路としては、自動車製造業や重機械工業、電機・化学メーカー、制御機器メーカーをはじめ、官公庁や医療機関、金融機関など、機械・情報関連から電気・電子・半導体関連まで幅広いものづくり企業での活躍が想定されており、大学院への進学やスタートアップでの起業も選択肢に含まれる。

一方のサイバーセキュリティコースは、ICT社会基盤を支えるコンピュータネットワーク技術とサイバーセキュリティ技術の習得に重点を置く。プログラミングや暗号・符号理論、データサイエンスに関する授業を通じて、重要な情報を守るためのシステム設計・運用の知識・技術を身につける。実験科目の「サイバーセキュリティ実験」では、2年次に基本的なシステム構築を学んだうえで、3年次には自ら構築したシステムを用いて攻撃から防御する技術を実践的に習得する。卒業後は、IT企業やセキュリティ専門企業、コンサルティング企業、製造業、通信業のほか、官公庁や医療機関、金融機関など、組織の重要な情報資産を守る人材として多様な分野での活躍が見込まれている。

両コースへの配属は入学後に決定する。1年次後半にコースの希望調査を行い、本人の希望をもとに成績や面談の結果を踏まえて調整したうえで、2年次からの配属コースを決める予定だ。

実践型授業と新棟整備

教育面の特徴としては、地元企業と連携したPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)型式の授業やインターンシップを通じて、身につけた知識・技術を社会で活かす実践力を養う点が挙げられる。あわせて、最先端の知識・技術を持つ実務経験豊富な教員が双方向型の授業を担当し、少人数教育によって学生一人ひとりが主体的に学べる環境を整えるとしている。在学中に取得を目指す資格としては、ITパスポート試験や情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験を挙げている。

新学部の教育研究拠点となる新棟は既に建設が進んでおり、2027年2月の完成を予定する。学生研究エリアやコラボラウンジ、講義室などを備え、地域や企業に開かれたイノベーション施設として、外部との交流・連携を通じた新たな価値創出を目指すという。キャンパスは福山市の中心部に位置する都市型キャンパスで、JR福山駅からバスで9分程度、自転車で10分程度とアクセスも良好だ。

入学者選抜は4区分で実施

2027年度入学者選抜は、総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜(前期日程・後期日程)の4区分で実施する。募集人員は、総合型選抜が15人、学校推薦型選抜が25人(内訳は福山市内の高校等に在籍または在住する者を対象とした地域枠10人、全国枠13人、専門高校枠2人)、一般選抜が前期日程25人・後期日程15人で、入学定員80人に対応する構成となっている。

選抜日程は、総合型選抜が2026年9月3日(木)から9月9日(水)まで出願を受け付け、10月17日(土)に試験を実施したうえで11月2日(月)に合格発表を行う。学校推薦型選抜は11月2日(月)から11月9日(月)まで出願を受け付け、11月28日(土)に試験を実施し、12月10日(木)に合格発表を行う。一般選抜前期日程は2027年1月25日(月)から2月3日(水)まで出願を受け付け、2月25日(木)に試験を実施したのち3月5日(金)に合格発表となり、後期日程は同じ出願期間で3月12日(金)に試験を実施し、3月20日(土)に合格発表を予定している。

総合型選抜の詳細

総合型選抜では大学入学共通テストを課さず、調査書・志望理由書・活動報告書といった出願書類の内容に加え、数学と情報の学力検査、そして面接の結果を総合して合否を判定する。配点比率は学力検査が50%、出願書類審査が30%、面接が20%で、学力検査の出題範囲は数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B・数学Cおよび情報Ⅰとなっている。試験当日は福山市立大学港町キャンパスを会場とし、午前9時30分から11時30分まで学力検査を実施したのち、正午すぎから面接を行う日程となっている。出願はWEB出願サイトを通じて行い、入学検定料として17,000円が必要になる。

学校推薦型選抜・一般選抜の概要

学校推薦型選抜では、学校長の推薦に基づき、調査書の学業全体の評定平均値が4.0以上であることなどを推薦要件とし、学力検査(50%)と面接(10%)、出願書類審査(40%)の結果を総合して評価する。一般選抜前期日程では、大学入学共通テスト(6教科7科目、1,000点満点)に加えて数学の個別学力検査(300点満点)を課し、学力を重視した選抜を行う。後期日程は大学入学共通テスト(4教科5科目、700点満点)の成績に面接(100点満点)を組み合わせて評価し、志願倍率が10倍を超えた場合には2段階選抜を実施することもあるという。なお、前期日程の志願者のうち成績が特に優秀と認められた者については、入学料を全額免除する制度も設けている。

入学に必要な費用は、入学検定料が17,000円、入学料が福山市内在住者で253,800円、市外在住者で423,000円となる。このほか、福山市立大学教育振興会費として4年間分50,000円、入学後は年間授業料として535,800円が必要になる。