不登校・行き渋り家庭、中学進学に8割超が不安 最大の懸念は「学習の遅れ」 ベネッセ調査
不登校や登校しぶりを経験した小学生を持つ家庭のうち、8割を超える保護者が中学進学に不安を感じていることが、株式会社ベネッセコーポレーション(岡山県岡山市、代表取締役社長・岩瀬大輔氏、以下ベネッセ)の調査で分かった。同社が運営する中学生向けフリースクール「ベネッセ高等学院 中等部」が、進学前後の保護者を対象に実施したもので、不安の内容として最も多く挙がったのは「学校の勉強についていけるか」という学習面への懸念だった。
調査は2026年6月5日から14日にかけてインターネット上で実施した。対象は、現在小学4~6年生で不登校または登校しぶりの傾向がある子どもの保護者461人(うち小学6年生は139人)と、現在中学1~3年生で小学6年生当時に不登校または登校しぶりの傾向があった子どもの保護者545人の2群である。前者からは進学を控えた家庭の不安を、後者からは進学を経た家庭の実感を、それぞれ捉える構成にした。
不登校児童生徒の数は増加が続いており、小学生を中心にその低年齢化も進んでいる。小学校から中学校への移行期は環境の変化が大きく、家庭が抱える不安も膨らみやすい時期といえる。今回の調査では、進学を目前に控えた小学生の保護者と、進学をすでに経験した中学生の保護者の双方に聞くことで、時間の流れに沿った不安と支援ニーズの変化を浮かび上がらせた。
進学への不安、6年生では9割近くに
小学4~6年生の保護者に中学進学への不安を尋ねたところ、「とても不安を感じている」「やや不安を感じている」と答えた割合は合わせて84.0%にのぼった。進学が翌年に迫る小学6年生の保護者に限ると、この割合は88.5%まで上昇する。進学が近づくほど不安が高まる傾向がうかがえる結果だ。
不安の中身を複数回答で尋ねると、「学校の勉強についていけるか」が59.9%で最多となり、「クラスメイトとの人間関係をうまく築けるか」(57.9%)、「中学校の雰囲気やルールになじめるか」(50.8%)が続いた。学習面への懸念が突出する一方、対人関係や新しい環境への適応も同程度に重視されており、進学に伴う変化そのものが不安の根にあることを示している。
相談する家庭は7割、それでも不安は解消せず
子どもに関する悩みを誰かに相談しているかを聞いたところ、小学生保護者の70.3%が「相談している」と答えた。相談先は「学校の先生」(60.2%)が最も多く、「家族・親族」(46.6%)、「スクールカウンセラー」(33.6%)と続く。心療内科などを含む「その他」も21.6%で5位に入っており、身近な人間関係から専門機関まで、相談先は幅広く分散している。
一方、残る29.7%は「相談していない」と回答した。その理由は「まだ相談するほどではないと思った」が40.1%で最多、「相談先が分からない」が32.8%で続いた。相談自体は多くの家庭に広がっているものの、それだけで不安の解消につながっているとは言い切れない実態が、今回の調査から浮かんだ。
進学前後で一致する支援ニーズは「学習」と「居場所」
小学生保護者に進学に向けて望む支援を複数回答で聞くと、「子どもの状況に合わせた学習サポート」が67.2%で最も多く、「子どもが安心して過ごせる居場所」が55.7%で続いた。一方、中学生保護者に小学6年生当時を振り返ってもらうと、「子どもが安心して過ごせる居場所」(57.4%)が最多、「子どもの状況に合わせた学習サポート」(48.3%)が僅差で続いた。
進学前と進学後とで両者の順位は入れ替わっているが、上位に挙がる2つの支援内容そのものは共通している。進学前に保護者が求める支援と、進学後に振り返って「あれば良かった」と感じる支援が一致していることは、支援の的を絞りやすい材料になり得る。
進学後も不登校や登校しぶりが続いていると答えた中学生保護者に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「子どもの気持ちやメンタル面の不安」が74.1%で最も多く、「中学校の環境になじめなかった」など精神面・環境面の不安が上位を占めた。3位には「学習面での不安」(35.0%)が入っており、学習支援へのニーズは進学後も途切れずに続いていることが読み取れる。
情報収集は「小学6年生から」が7割超
中学生保護者に、小学6年生の段階から中学進学に向けた相談や情報収集を始めていた方がよかったと思うか尋ねたところ、「とてもそう思う」「そう思う」の合計は73.7%に達した。進学を経験した保護者の多くが、より早い段階からの準備の重要性を実感していることがわかる。
フリースクールの利用検討状況を見ると、小学4~6年生の保護者全体では「検討したことはない」が59.7%と最も多い。ただし小学6年生に限ると、「検討したことがあり現在利用している」が7.2%(全体は5.6%)、「検討したことはあるが利用しなかった」が30.2%(同26.2%)、「現在利用を検討している」が14.4%(同8.5%)と、いずれも全体平均を上回った。進学が近づくにつれて、フリースクールが現実的な選択肢として意識され始める様子がうかがえる。
検討した末に利用しなかった理由としては、「本人が行きたがらない」が49.6%で最多だった。子ども本人の意思以外では、「費用が高いと感じた」と「もう少し様子を見ようと思った」がいずれも38.0%で並んだ。
ベネッセ教育情報「不登校・通信制高校領域」の教育スペシャリストで、ベネッセ高等学院・中等部学院長を務める上木原孝伸氏は、今回の調査結果について、進学への不安の中でも学習面が繰り返し上位に挙がった点を指摘する。進学前に望む支援、進学後に振り返って必要だったと感じる支援、進学後も不登校が続く理由のいずれにも学習面が関わっていることから、学習支援は中学進学を支えるうえで軸となるテーマだとの見方を示した。あわせて、子どもに関する悩みを一人で抱え込まず相談する家庭が多数を占めている点は好ましい傾向だとしつつ、相談の先で子どもの状況に応じた具体的な支援につなげることが今後の課題になるとの考えを述べた。フリースクールをめぐっては、費用面の負担に加えて、どのような場所か情報が少ないという声があったことを踏まえ、選択肢の存在を保護者や子どもに知ってもらう情報発信と、費用面を含めた多様な学びの選択肢を広げる取り組みの両方が必要になるとしている。