クオリティ・オブ・ライフ、文科省「N-E.X.T. ハイスクール構想」参画へ 都道府県・高校の計画策定と実行を伴走支援
中間支援機関の株式会社クオリティ・オブ・ライフ(東京都港区、代表取締役・原正紀氏)は2026年7月13日、文部科学省が推進する「N-E.X.T. ハイスクール構想」への参画を目指す都道府県教育委員会と全国の高等学校に向けて、申請から計画策定、実行、翌年度の改善までを一貫して支援する「N-E.X.T. ハイスクール構想 参画伴走プログラム」の提供を始めた。
N-E.X.T. ハイスクール構想は、文科省が令和7年度補正予算に約2,955億円を計上して推進する高等学校教育改革の基金事業だ。都道府県に基金を設け、最長3年間にわたり補助率10分の10で継続的な支援を行い、地方高校の教育改革を先導する拠点のパイロットケースを生み出すことを狙う。
もっとも、探究学習や外部人材の招聘といった外部連携を学校や教育委員会が実際に導入し運営しようとすると、いくつかの壁に突き当たる。教員は通常の授業準備や校務に加えて、外部企業や専門家との日程調整、事務作業や記録作業までを担うことになり、負担が重くなりがちだ。年に一度のゲスト講師派遣のような単発の連携にとどまり、生徒の学びとして深まりにくいという指摘もある。さらに、地域の産業界や大学と有機的につながるエコシステムを設計し運用するノウハウを、学校や教育委員会だけで培うのは難しい。
こうした課題を踏まえ、クオリティ・オブ・ライフは創業から20年にわたり、産業界・教育界・公共機関・個人をつなぐ中間支援機関として、経済産業省や文部科学省、複数の自治体から公共事業を受託してきた実績を持つ。全国30以上の大学との教育連携も重ねてきた。今回のプログラムでは、こうした知見を生かしながら学校が主導権を握った状態を保ちつつ、教員の負担を大きく減らし、生徒の可能性を引き出す「外部プロデューサー」として学校現場に伴走していく。
プログラムは、N-E.X.T. ハイスクール構想が定める3つの類型それぞれに対応する形で用意された。地域産業を支える専門人材の育成を目指す「アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援」の類型では、全国約10,000社に及ぶ中小企業ネットワークを生かし、地元企業でのフィールドワーク先を速やかに紹介できる体制を敷いた。6,000名を超えるプロ人材データベースからは地元産業の専門家を派遣し、高校生が企業経営者への取材や経営課題の発見、提案発表までを一連の流れで経験するPBL型の越境学習プログラムを組み立てる。一般社団法人産学協働人材育成コンソーシアム(CIAC)とのネットワークも活用し、大学生と高校生が共に取り組むPBL型プログラムやインターンシップも用意している。
理数系人材の育成に向けた類型では、CIACとの連携によって大学教員や研究者、企業のR&D部門をメンターに迎え、文科省のガイドラインに沿った校内の探究活動へ定期的にフィードバックする体制を構築する。プロ人材データベースからは理数系やデジタル・AI領域の専門家も派遣し、実践型の教育を提供していく方針だ。
多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保を掲げる類型では、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド設計により、過疎地や小規模校、複数校が連携するケースでのコスト負担を分散させる。一般社団法人留学生支援ネットワーク(ISSN)を通じて外国人材とのオンライン国際交流セッションを企画するほか、CIACや地元就職情報サイト「じもナビ」のネットワークを生かし、地方の大学生をグループワークのファシリテーターとして起用する。
こうした3類型のプログラムを支える枠組みとして、運営は都道府県教育委員会・学校・外部人材の三者がそれぞれの役割を効率よく果たせるよう設計されている。カリキュラムの主体はあくまで学校に置き、クオリティ・オブ・ライフはプログラム全体の設計、外部人材や企業との条件およびスケジュールの調整、日程管理や謝礼などの事務処理、当日の進行と記録、議事録の作成、さらに文部科学省向け成果報告書の作成支援や翌年度への改善提案までを一括して引き受ける。外部人材の起用に当たっては、同社が一方的に人選を決めるのではなく、2名から4名の候補者を提示したうえで学校側と共に面談し、生徒や学校との相性を確かめてから決定する「共同選定方式」を採用している。
代表取締役の原正紀氏は、早稲田大学法学部を卒業後に株式会社リクルートを経て同社を設立した経緯を持ち、産学官民をつなぐ中間支援のパイオニアとして各種の政府委員も歴任してきた。プロ人材データベース「Engun」には、大企業のOB・OGを中心に新規事業やDX、マーケティング、食品、農業など幅広い領域の専門家が6,000名を超えて登録している。