博士課程教育の改革支援事業に東京科学大、阪大ら28大学が応募採択結果は9月発表予定

2025年06月06日

文部科学省は6月4日、国公私立の大学による博士課程教育改革の取組みを支援する「未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業」について、5月に行った募集に、東京科学大学、大阪大学ら28大学から応募があったことを明らかにした。

文科省は昨年3月、博士人材がアカデミアのみならず、多様なフィールドでイノベーションの担い手として活躍する社会の実現に向けて「博士人材活躍プラン――博士をとろう」を発表。2040年における人口100万人当たりの博士号取得者数を、2020年度比約3倍、世界トップレベルに引き上げることを目標に掲げ、その実現のために大学院改革を推進していくことを打ち出した。

その一環として、今年度から始まったのが本事業。総合大学や一定規模の大学における、大学院改革、特に博士課程教育改革の取組みに、資金を提供する。総合大学を対象とする「総合型」では年間最大3億6,500万円、一定規模の大学を対象とする「特色型」では年間最大1億6,500万円（いずれも初年度）の支援を、最長7年間提供する。

5月19日から23日にかけて行われた募集には、総合型18件、特色型10件、計28件の応募があった。各取組みの名称と実施大学は以下の通り。

大学名（連携大学名）…取組み名

【総合型】
・北海道大学…「未来社会の開拓者」育成VISION
・秋田大学…秋田大学重点研究×分野横断型大学院再編による地域産業の再興を支える博士人材の育成
・筑波大学…多様なマルチメンターによる社会変革を先導する次世代博士人材の育成拠点形成
・千葉大学…千葉大学未来接続型博士教育拠点構想
・東京科学大学…ビジョン駆動型教育による社会を動かす国際派博士人材の育成
・東京農工大学…東京農工大学が変革する「世界トップレベル大学院」による国際未来先導
・新潟大学…グローバル社会を牽引する博士イノベーター育成大学院拠点
・金沢大学（北陸先端科学技術大学院大学）…多面的な連携が生み出す「知」の共創と往還による新価値創造人材の育成・輩出拠点
・名古屋大学…名大ビジョンR16：社会に羽ばたく高度博士人材の育成
・大阪大学…超域脳・学際脳循環教育プラットフォーム構築
・神戸大学…未来社会を開拓する卓越人材育成のための異分野共創教育拠点
・岡山大学…地域に根差し、世界と協働する：岡山大学版ナレッジワーカー育成システムの構築
・広島大学…「持続可能な発展を導く科学」を実践する世界的大学院教育拠点形成
・山口大学…質・量の確保とアクセスの補完による地域の「知の総和」の向上
・九州大学…共創力と価値創造力を備えた博士人材の国際教育拠点の創出
・大阪公立大学…Doctoral Nexusビジョン
・兵庫県立大学…国際的な産業競争力強化のための企業連携型博士課程の創成
・立命館大学…共創と融合で挑む博士の未来創造 Doctoral Program for Challenge, Integration, and Co-Creation（CHIC）

【特色型】
・東京芸術大学…芸術の力で夢ある未来社会を先導する大学院人材の育成
・電気通信大学（東京海洋大学、北陸先端科学技術大学院大学）…日本版Industrial PhDによる未来共創リーダー育成拠点
・一橋大学…Transformation for Social Innovation
・山梨大学…人的資産運用による大学院ダイナミクスの抜本的改革
・奈良先端科学技術大学院大学…多様な博士人材を育成・輩出し、日本への定着を促すリアル／バーチャル融合型大学院モデルの構築
・名古屋市立大学…ウェルビーイング社会を先導するマルチタレント博士人材の育成
・芝浦工業大学…GTIコンソーシアムを基盤とした産学官国際ネットワークによるトランスファラブルスキルを備えた博士人材の体系的創出
・順天堂大学…順天堂大学大学院改革ビジョン
・東京医科大学…未来の医療を先導する多様な研究推進人材の育成
・沖縄科学技術大学院大学…ブリッジング・エクセレンス：OISTモデルを核とした日本の大学院改革加速的推進プログラム

今後、独立行政法人日本学術振興会に設置された委員会が、各大学から提出された「大学院改革ビジョン」を、明確性、実現可能性、有用性、先進性などの観点から評価。それにもとづき、総合型4件、特色型2件が採択される見込み。採択結果は9月上旬に発表される予定。