ベネッセ教育総研、「大学教育ビジョン」4つの提言を発表

株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2022年1月より各界の有識者とともに「高等教育の未来を考える会」を立ち上げ、大学がどんな学びの場になり、学生がどのような経験をして成長していくのか、そのために大学のあるべき姿や役割はどう変わらなければならないのか、これからの大学教育のビジョンを検討した。

多様化、複雑化する世界の構造的課題を解決し、よりよい未来を創りあげていく担い手となる若者を育むために、ますます大学教育への期待と重要性が高まっている中、ベネッセ教育総研は「学生よ 野望を抱け~希望ある未来を描く大学教育ビジョン」として、未来を創る担い手を育む大学教育の在り方への提言をまとめた。提言の概要は以下の通り。

「未知を探究し、新たな価値を創り出す創造性を育むこと」は教育の目標の一つであり、未来を創る学生を育むために、大学教育の役割はますます重要になっている。未来を創るために、学生は、「自分や社会の未来をつくる大志に満ちた夢を持つこと」「自分だけでなく社会の未来を共に創造し、未来に自分自身が歩む道をデザインする意思をもつこと」「今を前提としない大きな未来にもひるまず挑戦する気持ち」という「野望」を一人ひとりが掲げ、それに向けて行動することが必要となる。大学は、「野望」を抱く学生が育まれる場でなければならない。大学がそのような場になるために、以下4つを提言する。 

<提言1>挑戦と観察を繰り返して創造性を育む学び場へ
創造性とは未知の問いを見つけ、そこに仮説を立て、それを立証し、実現する力。「創造性」は属人的な才能とみなされているが、教育によって育めるもの。教育本来の最も大切な達成目標の一つである「創造性」を体系的に学ぶ場が大学である。 

<提言2>学生が自身で決定し評価する経験ができる場へ
大学は、学生が人生を考え、テーマと出合う場。学生自身が自己決定、自己評価する経験を通して、学ぶ意義や目的を考えることで、主体的な学びにつなげる場である。 

<提言3>社会と学生自身がつながる経験を提供する場へ
学生が自己肯定感を高め、大きな「野望」を育むために、社会の中で小さな成功体験を積み重ねることが大切だ。学生が、その経験を積み重ねるために、地域、社会、世界への接点となる場が大学である。 

<提言4>未来を学生自身が変える目標と実感を育む場へ
学生が自身の「創造性」に自信を持ち、自分自身を知り、自分で決め、社会とつながる。こうしたプロセスの先にこそ、得られた専門性によって関係を構築できる実感が育まれ、社会の未来を自分で変えられる可能性に気づく。この希望ある野望が育まれるプロセスを体験的に学び、この学びが大きな夢や目標へとつながる場が大学である。

23.3.1news3

株式会社ベネッセホールディングス・プレスリリースより