「天八魂」を後世につなぎ、21世紀型の近江商人を育成

明治19年の創立以来、130年超の歴史と伝統を持つ滋賀県立八幡商業高等学校。伊藤忠財閥2代目の伊藤忠兵衛氏やワコールを創業した塚本幸一氏など、著名な実業家を多数輩出してきた。「近江商人の士官学校」とも言われる同校の櫛村芳明校長に、教育方針や特徴的な取り組みを聞いた。

「三方よし」をベースに高度情報化、グローバル化に対応

──地元では「八商」の名で親しまれている御校では、どういう人材を育てようとしているのでしょうか。

櫛村 芳明

櫛村 芳明

滋賀県立八幡商業高等学校 校長
1983年、滋賀県立長浜商工高等学校(現・滋賀県立長浜北星高等学校)で商業科教員として新規採用。国際情報高等学校勤務を経て、2008年滋賀県教育委員会事務局学校教育課指導主事に就任。2014年八幡商業高等学校教頭、2016年能登川高等学校校長、2018年より現職。

八商の卒業生が持っている伝統的な近江商人の気質を受け継ぎながら、現状に甘んじることなく、高い志を持って、なおかつ広い視野で深く考えることができる人、将来、ビジネス社会のリーダーとして活躍できる生徒を育てていきたいと考えています。本校には「天下の八商魂」を略した「天八魂(てんぱちだましい)」という言葉がありますが、その言葉に現れているのもそうした考えです。

教諭として教壇に立っていた頃、よく生徒に言っていたのは、商売するときに最後にモノを言うのは売る人そのものだ、ということです。特に製品が均一化されていくほど、売る人の人柄で…

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