江戸の藩校から今に至る学びの軌跡 全国的にも出色の地誌も盛ん

天正年間から始まる近江の寺子屋では、熱心な庶民教育が行われる一方、当時としては珍しく、国学に重きを置く藩校もあった。藩校の歴史は今の県立高校にも連なる。また、江戸時代から盛んな地誌は、大正期における郡誌隆盛の礎となった。

湖東の街道沿いに多くの寺子屋 組織的に統制を図る地域も

文部省が1883(明治16)年から全国を調査して編纂した『日本教育史資料』には、江戸から明治初年にかけて、近江には450の寺子屋があったと報告されている。最も早く開業したのは、川越領高島郡北仰村(現高島市)の「森之舎」で、天正年間(1573~1580年)のことであった。

次に寛永年間(1614~1644年)には、彦根領神崎郡木流村(現東近江市)に神官田中千秋の「梅廼舎」が開業している。その後、天保年間(1830~1844年)に…

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