【7月10日松本尚デジタル大臣会見】政府AI「源内」に国産モデル導入

松本尚デジタル大臣(デジタル行財政改革担当、行政改革担当、国家公務員制度担当、サイバー安全保障担当、内閣府特命担当大臣〈サイバー安全保障〉)は、2026年7月10日の閣議後記者会見で、政府職員向け生成AI利用環境「源内(げんない)」において、国内で開発された大規模言語モデル(LLM)を国産クラウド上で試験的に稼働させると発表した。稼働させるのは、NTTデータがNTT株式会社と共同で提供する「tsuzumi 2」、富士通株式会社の「Takane 32B」、株式会社Preferred Networksの「PLaMo 2.0 Prime」の3モデルである。稼働先は、唯一の国産ガバメントクラウドである「さくらのクラウド」(さくらインターネット株式会社提供)で、同社にとって政府業務での実運用としては初めての案件となる。

若手職員の声を政策に反映

会見で松本大臣はまず、2026年7月8日に国家公務員制度担当大臣として開催した若手国家公務員向けワークショップについて報告した。12省庁からオンライン参加を含む約40名が参加し、対面とオンラインを合わせて7グループに分かれ、「なぜ国家公務員として働き続けるのか」「働き続けるためには何が必要か」をテーマに意見交換を行い、各グループが議論の成果を発表した。松本大臣は各グループの議論を聞く中で、上司とのコミュニケーションの難しさや、自身の仕事の意義が見えにくいこと、中長期的なキャリア展望を描きにくいことへの悩みが挙がったと明かした。今後はこうした声を施策に反映するとともに、ワークショップを継続するほか、今後さらに昇進していく中堅の管理職層を対象にした意見交換の実施も検討する考えを示した。

国産クラウドで基盤モデル試験稼働

続いて松本大臣は、ガバメントAI「源内」における新たな取り組みとして、国産基盤モデルの試用開始を説明した。デジタル庁は全府省庁の政府職員約18万人を対象に、順次アカウントを付与しながら源内の利用拡大を進めている。今回はこれに加え、国内で開発されたLLMを国産クラウドである「さくらのクラウド」上で稼働させる取り組みに着手する。対象の3モデルは2026年8月までにさくらのクラウド上で稼働を開始する予定であり、国産クラウドと国産基盤モデルの有用性・信頼性・経済性を検証していく方針だ。

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この取り組みの背景には、段階を踏んだ選定と契約の経緯がある。デジタル庁は2026年3月6日、応募15件の中から国産LLM7件を試用対象として選定した。その後2026年5月までに、このうちNTTデータ、ソフトバンク株式会社、日本電気株式会社、富士通、Preferred Networksの5社と評価検証に関する契約を締結している。会見での質疑に対し松本大臣は、選定した7社のうち2社が事情により契約に至らなかったため、契約先は5社になったと説明した。そのうえで、5社のうちさくらのクラウド上で稼働するのはNTTデータ、富士通、Preferred Networksの3社であり、残るソフトバンクと日本電気の2社についてはさくらのクラウド上に対応するメニューがまだ整っていないため、引き続き海外クラウド上で試用を続けると補足した。

国産AIの自律性確保へ布石

デジタル庁は国産基盤モデルの活用を通じて、安全・安心な国産AIの利用推進、行政現場からのフィードバックによる性能向上、政府調達を通じた安定的な需要創出の3点を実現し、AIに関する日本の自律性確保につなげたい考えだ。松本大臣は会見で「国産クラウド、国産基盤モデルの有用性、信頼性、経済性を検証したい」と述べた。

行政のAX推進における位置づけ

同日には首相官邸でも人工知能戦略本部の会合が開かれ、AI基本計画の改定案が決定された。高市早苗内閣総理大臣(首相)はこの会合で、AIを前提とした規制・運用ルールの府省庁横断的な見直しを進める考えを示し、諸外国に比肩する政府の推進体制を築く方針を打ち出した。松本大臣は会見で、首相から行政においてAX(AIによるトランスフォーメーション)を主導するよう求められたことに触れ、今回のガバメントAIでの取り組みがその先陣を切るものになるとの考えを示した。