産官学連携への新たな視点 「人文社会系分野の知」は企業に何をもたらすか

産官学連携について、理工・生物系分野の「研究開発」を中心に捉えるだけでは、その可能性を狭めることになる。人文社会系分野を含めた産官学連携の新たなモデルを構築した京都精華大学・南了太教授に、企業における「人文社会系分野の知」の活用について話を聞いた。

理工・生物系分野に偏重した
視点からの脱却が求められる

南 了太

南 了太

京都精華大学 国際文化学部 准教授
1980年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科 技術・革新的経営専攻修了。博士(技術・革新的経営)。大学院博士前期課程修了後、経済産業省の外郭団体NEDO技術開発機構に入社、NEDOフェロー(若手産官学連携養成者)として同志社大学リエゾンオフィス・知的財産センターへ出向、産官学連携の推進に従事。その後、金沢大学ティー・エル・オーで知財管理や特許ライセンス業務、京都大学産官学連携本部では組織対組織の産学連携や全学的な共同研究の推進、子会社「京大オリジナル株式会社」や複数大学の共同による「京都アカデミアフォーラムin丸の内」の企画・立ち上げ・運営および各種地域連携業務に携わる。2021年4月より現職。

── 南先生は、企業における「人文社会系分野の知」の活用や産官学連携について研究されています。

従来、産官学連携は理工・生物系分野の「研究開発」を中心に捉えられ、共同開発や技術移転、マッチングファンド、ベンチャー創出等による研究成果の事業化に焦点が当てられてきました。しかし、「研究開発」に先立つ場面で、人文社会系分野は様々な連携が可能です。私は人文社会系分野の産官学連携を「経営関与型」「社会価値探究型」「調査・マーケティング型」の3つに分類し、理工・生物系分野を含めて「統合型産官学連携モデル」としてまとめました(図参照)。

(※全文:2197文字 画像:あり)

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