【7月10日松本洋平文部科学大臣会見】男女別着替え調査に対応強化 情報教育も抜本拡充へ
松本洋平文部科学大臣は2026年7月10日の閣議後記者会見で、スポーツ政策の新パッケージ発表や次期学習指導要領における情報教育の拡充方針、小学校の男女別着替えを巡る調査結果への対応、夏季休業中の学校給食施設活用の是非など、幅広いテーマについて説明した。
SPORTEC2026で健康インフラ策を公表
松本大臣は7月8日、東京ビッグサイトで開催された国内最大級のスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC2026」に参加し、「運動・スポーツを通じた『健康インフラ』の構築による『健康・活躍社会』の実現パッケージ」を公表した。
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運動やスポーツの実施率を高めることで人材の定着や現役期間の延伸、生産性の維持・向上につなげ、国民一人ひとりが健康で活躍できる社会の実現を目指す内容である。会見では、定期的な運動・スポーツの実施による心身の健康改善が生み出す経済効果として、筑波大学・久野研究室の試算による年間12.6兆円という数字も紹介された。松本大臣は、健康であり続けたいという願いは国民に共通するものであり、スポーツを通じた人と人とのつながりが生活を豊かにするとの考えを示し、文部科学省として国民の運動・スポーツ実施機会の確保に取り組む姿勢を強調した。
科学未来館と夜間学級を訪問
続いて松本大臣は7月9日、日本科学未来館と墨田区立文花中学校夜間学級を訪れたことを報告した。日本科学未来館では、現在開催中の特別展「南極観測70周年!! この夏、東京に南極がやってきた!」(会期2026年7月1日〜9月27日)を視察したほか、浅川智恵子館長と意見交換を行い、科学技術の最先端に触れる機会を提供する現場の取り組みについて話を聞いたという。墨田区立文花中学校夜間学級では授業の様子を見学し、生徒や教員と意見交換を実施した。多様な事情を抱える生徒一人ひとりに向き合う教員の姿勢や、将来を見据えて学びに向かう生徒の様子に触れ、夜間中学が果たす役割を改めて認識したと述べた。
情報教育を抜本拡充、AI時代に対応
記者からは、次期学習指導要領における情報教育の拡充案について質問が上がった。文部科学省は7月8日、学習指導要領の改定に向けて議論を進める中央教育審議会の特別部会に対し、小中学校の情報・技術系授業を大幅に拡充する案を示している。小学校では総合的な学習の時間に「情報の領域」(仮称)を新設し、3・4年生で年間最大30コマ、5・6年生で35コマ程度を充てる方向だ。中学校では新設する「情報・技術科」(仮称)で週2コマ相当まで倍増させ、メディアリテラシーやAIの特性・リスクへの理解を深める内容を大幅に盛り込む。全面実施は2030年度からを見込むが、一部内容は2028年度から先行実施される見通しである。
松本大臣は、AIをはじめとする情報技術の急速な浸透により、SNSを介した偽情報・誤情報の拡散が社会に影響を及ぼす懸念が高まっているとの認識を示し、情報活用能力の抜本的な向上は次世代を担う子どもたちに不可欠な資質であると説明した。一方で、新設される教科を全国の学校で確実に実施していくためには、担当教員の専門性の確保や、情報・技術科の免許を持つ教員の不足という課題が残ると認めた。この対応として、学習者用教材の開発、オンラインによる全国規模の免許法認定講習、教員の指導力向上に向けた研修、免許制度のあり方の検討などを並行して進める方針を示した。
夏休み前にネット利用へ呼びかけ
情報教育に関する質問に続き、記者からは夏休みを控えた子どもたちのSNSやインターネット利用について発信を求める声が上がった。松本大臣は、夏休みは日常とは異なる環境の中で多様な学びや特別な体験に触れる機会にしてほしいとしたうえで、SNSを含むインターネットの長時間利用が青少年の日常生活に支障をきたす懸念も指摘されていると述べた。そのうえで、楽しく有意義な夏休みを過ごすためにもインターネットの適切な利用を心がけてほしいと呼びかけた。
男女別着替え、朝日新聞調査に言及
小学校の体育授業における男女別の着替えを巡っては、朝日新聞が全国主要74市区の教育委員会を対象に実施した調査結果への受け止めを問う質問が出された。同調査では「男女一緒に着替えている学校がある」と回答した自治体が半数近くに上り、実態を把握していない自治体も1割を超えていたことが2026年7月7日付の報道で明らかになっている。
松本大臣は、この調査結果について報道を通じて把握しているとしたうえで、一般論として、体育授業に伴う着替えは児童生徒の発達段階や置かれた状況を踏まえ、心情に寄り添った対応を行うことが必要だとの考えを示した。文部科学省はこれまでもスポーツ庁を通じて、各教育委員会の体育担当者が集まる会議などの場で、児童生徒一人ひとりの心情に配慮し男女別に対応できるよう呼びかけてきたと説明した。今後については、各教育委員会を通じた情報収集を継続し、把握した状況を踏まえて必要な対応を検討していく考えを示した。
夏季休業中の給食施設活用は課題
夏休み中の子どもの食の確保についても質問が及んだ。経済的に厳しい家庭では、夏休み中に子どもが十分な食事の機会を得られず、体重が減少するケースがあるとの指摘を踏まえ、学校の給食施設を夏休み中に稼働できないかとの問いに対し、松本大臣は、成長期にある子どもに栄養バランスの取れた食事を提供することは健康の保持・増進の観点から重要であるとの認識を示した。
一方で、長期休業期間中は給食施設の保守点検や修繕、大規模清掃が実施されることが多く、日程調整のほか、給食調理員以外の者が調理室に立ち入る際の衛生管理や、使用後の清掃・原状回復を確実に行う必要があるなど、実施にあたっての課題も少なくないと説明した。そのうえで、一部の自治体では夏季休業期間中に給食センターを開放し、児童生徒を対象に昼食を提供している事例もあると紹介した。なお、2026年4月からは公立小学校を対象に、国が自治体を支援する形で「学校給食費の抜本的な負担軽減」が始まっている。松本大臣は、夏季休業中の食に関する支援についてはこども家庭庁をはじめとする関係省庁が取り組んでいるとしたうえで、文部科学省としても地域の実情に応じて子どもが必要な栄養を確保できるよう、こども家庭庁など関係省庁と連携しながら対応していく考えを示した。